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物語編

第四章 第四話 問答編

マサシ 入口(イリグチ)は、どういうものですか?

 

アキラ 入口は、良くを説く、型のことであり、
    良くに憑れた人を、飽くに導く係である。
    多様な人々に合わせ、多様な入口が説かれ、
    人々は、好きな入口を選び、中に進んでいく。

 

マサシ 出口(デグチ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 出口は、飽くを解く、型のことであり、
    良くに疲れた人を、解くに導く係である。
    多様な入口を進むと、唯一の出口が解かれ、
    人々は、良くと飽くを解く、空に進んでいく。

 


 

メグミ 入口と出口は、どういうものですか?

 

マコト Aから入る者は、非Aから出て来ます。
    Bから入った者は、非Bから出て来ます。
    Aを修めたら、非Aも修めなければならず、
    必ず、望まない結果にも、臨んでしまいます。

 

メグミ 真理とは、どういうものですか?

 

マコト Aが生まれると、非Aが埋まれること。
    Aを修めたものは、非Aも修めなければ、
    思いのままに偏って、真理には至れません。
    真理を修めるには、Aと非Aも認める事です。

 

メグミ どうして、入口はたくさんあるのに、
    出口は、一つしか存在しないのですか?

 

マコト Aに入った者が、非Aから出てくると、
    「この入口は、思っていたのと違う」と、
    BやCといった、別の入口を探求しますが、
    非Bや非Cに出るだけで、真理を悟れません。

 

    どの道を選ぼうとも、我が道を進めば、
    意図しない結果に、必ず、辿り着きます。
    唯一の出口とは、我が「非」を認めること。
    自我を悔い改めて、全て受け容れることです。

 


 

シモダ 最近、人々の欲望が、加速していませんか?

 

マコト 欲に駆り立てられて、あなたの本質が、
    絞り出される仕組みが、世に現れました。
    動く側に回るにせよ、見る側に回るにせよ、
    次々に、人々の本性が、掘り起されています。

 

    我が子を使って、人の目を集めるもの。
    周りの罪を論って、我が罪を重ねるもの。
    法を切り取りながら、業を撒き散らすもの。
    甘い教えを説きながら、苦い汁を吸わすもの。

 

    欲の仕組により、人が何を選ぶのかを、
    漏れなく刻まれて、間もなく暴かれます。
    その入口が、どの出口に、続いているのか。
    見極める、知恵を磨き、仕掛を解きましょう。

 


 

コサイ どうして、出口を望む人は、少ないのですか?

 

マコト 世の人を、救いに誘う、教えは易しく、
    反対に、悟りに導く、教えは難しいです。
    何故なら、欲に従うのが、救いの道であり、
    真面に、欲に背くのが、悟りの道だからです。

 

    前者を、豪華客船の、映画に譬えれば、
    救命艇に、押し寄せて、混乱する人々を、
    乗れるよう、宥め賺かし、整理する道です。
    欲に従うため、焦る中でも、耳が向かいます。

 

    後者を、豪華客船の、映画に喩えれば、
    特等席を、奪い合って、興奮する人々を、
    譲るように、解き明かし、説得する道です。
    欲に背くため、昂る中では、拳を喰らいます。

 

    真の出口とは、最後まで演奏し続けて、
    生命を輝かせた、演奏家の人々だけです。
    誰も彼らの演奏に、耳を傾けなかった様に、
    真の出口を望む人は、甚だ少ないと言えます。

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