第四章 第二話 対話編
CASE 凡庸 の裏に 中庸
マナミ 偽物の中心、凡庸って、どういうものなの?
マサシ 凡庸とは、両極を究めず、中央に帰ることさ。
マナミ 限界を諦め、中心に居ると、どうなるのかな?
マサシ 他の人が、左に偏れば、左に偏って行くし、
他の人々が、右に偏れば、右に偏って行くよ。
マナミ それなら、周りが動くとき、自らも動じるの?
マサシ そうさ、周りが偏るとき、知らずに偏るけど。
マナミ 本物の中心、中庸って、どういうものなの?
マサシ 中庸とは、両極を究めて、中央に還ることさ。
マナミ 限界を明め、中心に居ると、どうなるのかな?
マサシ 他の人が、左に偏れば、右に偏って見えて、
他の人々が、右に偏れば、左に偏って見える。
マナミ それなら、周りが動いても、独り動じないの?
マサシ そうさ、周りから見ると、動いて見えるけど。
マナミ なるほど、予想以上に、中庸は難しいのね。
マサシ そうさ、世界の限界まで、挑んでいない人が、
軽々しく、中庸を説いても、凡庸に過ぎない。
マナミ わたし、世の中の大勢に、流されてないかな?
マサシ そうして、自ら顧ることが、中庸の入口だよ。
マナミ ……………………!!
CASE 凡庸 の先に 中庸
サトミ 適当なこと、凡庸って、どういうものかな?
メグミ 凡庸とは、無理を隠して、中心を装うことよ。
サトミ 平静を装い、中道を騙ると、どうなるのかな?
メグミ 場を見ながら、法を騙るから、軸が揺れるよ。
サトミ 適切なこと、中庸って、どういうものかな?
メグミ 中庸とは、無理を越えて、中心で居ることよ。
サトミ 平常を保ち、中道を語ると、どうなるのかな?
メグミ 場に流されず、法を語るから、筋が通るのよ。
サトミ もちろん、相手に合せて、法を説くんだけど、
決して、真理の要諦は、変えてはいけないの?
メグミ うん、軸が揺れる人には、真理は解けないよ。
サトミ じゃあ、中心軸を作るには、どうすべきなの?
メグミ 必ず、極端を究めてから、中庸に止まるのよ。
サトミ 一度は、異端に挑まないと、正統が解らない?
メグミ そうだよ、悔い改めれば、過っても構わない。
つまり、極端を認めないと、中庸は悟れない。
サトミ 過ちを恐れて、行動せず、誤りを隠すより、
過ちを怖れずに、実行して、謝ると良いわけ?
メグミ うふっ、自ら確めないと、誤りを認めないよ。
サトミ ……………………!!
CASE 中庸 という 凡庸
サトシ 平凡を望む、凡庸って、どういうものかな?
アツシ 凡庸とは、極端を認めず、中途を進むことだ。
サトシ 中央に臨む、中庸って、どういうものかな?
アツシ 中庸とは、極端を認めて、中道を進むことだ。
サトシ う~ん、無理は良くないって、聞いたけどね。
中庸とは、極端を認めないこと、だと思うよ。
アツシ いや、両端を知ることなく、中心は解らない。
中道を、進みたいのなら、両極を知ることだ。
サトシ そういう、極端な人を見て、避けた方が良い。
無理に、己の限界に挑む、必要なんて無いよ。
アツシ いや、壁を越えないと、真の境地は現れない。
中庸に、至りたいならば、限界に挑むことだ。
サトシ いやいや、足るを知ること、そこそこで良い。
君って、極端すぎるから、近づきたくないよ。
アツシ ほら、中途に止まって、半端に解釈するから、
適当に、教えを繋ぎ合せ、迷妄に嵌っている。
サトシ もう、僕の方が中道で、君の法は極道だよ。
アツシ そうか、そう応えるなら、俺は何も言わない。
そのまま、突き進んで、限界を確めて来いよ。
サトシ ……………………
CASE 中庸なき凡庸 と 凡庸なき中庸
サトミ 凡庸と中庸、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 中途に止る、凡庸って、どういうものかな?
メグミ 凡庸とは、限界を知らず、中道を説くことよ。
サトミ 中道に入る、中庸って、どういうものかな?
メグミ 中庸とは、限界を知って、中道を解くことよ。
サトミ 凡庸を望み、中庸に臨まないと、どうなるの?
メグミ 中庸なき凡庸なんて、唯の中断に過ぎないよ。
サトミ じゃ、中途に止るだけ、中道に入らないの?
メグミ そうよ、極端を退けると、要諦は解けないよ。
サトミ 中庸を望み、凡庸に臨まないと、どうなるの?
メグミ 凡庸なき中庸なんて、只の中略に過ぎないよ。
サトミ じゃ、中道に入るだけ、中途に止らないの?
メグミ そうよ、半端を避けると、凡俗に説けないよ。
サトミ 凡庸だけは、何処が中央か、解けないまま。
中庸ばかりは、此処が中央と、説けないまま。
メグミ うん、凡庸と中庸、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、中庸を解き、凡庸に説いていくの?
メグミ そうなの、凡庸を介し、中庸を解していくの。
サトミ ……………………!!