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物語編

第四章 第五話 物語編

第四章   貪欲   と   瞋恚
第五話 好きを究める と 嫌いを極める

 

いや、星の輝き等と、神聖を醸し出しはするが、
その実、曖昧な兆しに、頼り過ぎる方が悪いのか。
弥が上に、確実な証しを、積み重ねる法が良いのか。

 

天を仰ぐよりも、地を辿ることを、私は選んだ。
自分と同じように、仏陀を探している人を見つけ、
仏陀が、何処に生まれたか、尋ねて回ることにした。

 

噂話では修まらない、直向な人々の話を聞くと、
曖昧なまま止まれない、一途な解が返って来るが、
悲しいかな、その答えが、合っているとは限らない。

 

人に尋ねても、人が違えば、言うことが異なる。
西に居ると聴き、西に行けば、東に居たと聞いて、
北の方だと聞いて、北に往けば、南の方だと聴いた。

 

近くに住む人ならば、詳しい筈と思っていたが、
決して、そうではなく、噂の域を出ることがない。
誰もが仏陀の話をするが、誰もが仏陀に臨んでない。

 

仏陀に近い者ほど、真理と縁が深いと思ったが、
どうやら、法縁の強さは、仏陀の近さで測れない。
むしろ、法縁が強い者ほど、遠くを任されてないか。

 

人々が、仏陀を望んで、満足したいだけの如く、
私も、聖者の近くに臨み、満悦したいだけなのか。
同じ轍を踏む、我が身を省みると、彼らを笑えない。

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