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物語編

第四章 第六話 対話編

CASE 修羅 の裏に 地獄

 

マナミ ねぇ、アスラ、修羅界は、どういうものなの?
マサシ 修羅は、瞋恚の味著を司る、怒りの世界だよ。
マナミ じゃ、ナラカ、地獄界は、どういうものなの?
マサシ 地獄は、瞋恚の過患を司る、怒りの世界だよ。
マナミ 怒り、楽しんでいる、世界が生まれるから、
    怒りで、苦しんでいる、世界が産れてくるの?
マサシ うん、怒りを楽しむから、怒りで苦しむのさ。
マナミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
マサシ じゃ、誰か勝ちたければ、誰か負けてしまう。
    ここで、独り勝ち続けると、どうなると思う?
マナミ 負けると、価値が下がるから、人が離れるの。
マサシ じゃ、友が喜んでいると、敵が悲しんでいる。
    ここで、敵を押え続けると、どうなると想う?
マナミ 恨まれて、報復を怖れるから、抑え続けるの。
マサシ そうさ、勝ちを巡らせれば、価値が上るのに、
    勝ちしか、望まないから、怨み合いを続ける。
マナミ たとえ、良くなる間は、価値を楽しめても、
    負けまで、臨まない限り、無駄に苦しむのね。
マサシ 修羅と地獄、怒りの廻りが、飽くまで続くよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 修羅 の先に 地獄

 

サトミ あたしも、娯楽のハンターに、為りたいな。
    逃げる獣を、打ち殺していくの、素敵でしょ。
メグミ 止めなよ、生き物を弄ぶのは、良くないから。
サトミ どうしてよ、大物を倒せば、興奮を覚えるよ。
メグミ 生き物で、楽していると、生き物で苦しむの。
    命を弄ぶと、命を玩ばれる、道を進まされる。
サトミ そんなの、負ける時代の、考え方じゃない。
    勝てる時は、狩で遊んでも、構わないでしょ。
メグミ 狩って、楽しんでいる、修羅が生まれるから、
    駆られて、苦しんでいる、地獄が埋まれるの。
サトミ 命を弄んで、笑ったり、愉しんだりするから、
    命を玩ばれて、泣いたり、悲しんだりするの?
メグミ たとえ、現在の自分が、苦しんでいなくても、
    現在の他者や、未来の自分が、裏で苦しむの。
サトミ もうっ、詰まらないことを、言っていないで、
    あたしと、狩猟の世界で、勝利者に成ろうよ。
メグミ わたし、命を育む道を、進んで生きたいの。
サトミ あたしは、命を狩る道を、勧めて行きたいの。
メグミ そのさきは、生きたくても、活きられないよ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 修羅 という 地獄

 

サトシ 怒り楽しむ、修羅って、どういうものかな?
アツシ 修羅とは、怒りを楽しみ、業を重ねるものだ。
サトシ 怒り苦しむ、地獄って、どういうものかな?
アツシ 地獄とは、怒りに苦しみ、業を落とすものだ。
サトシ つまり、怒りを楽しむ、修羅が存在するから、
    その裏に、怒りで苦しむ、地獄が存在するの?
アツシ そうだ、修羅が生まれると、地獄が埋まれる。
    修羅が積み、地獄に摘ませる、業の仕掛だな。
サトシ それなら、闘争に耽ったり、勝利に酔ったり、
    修羅に生まれ、怒りを喜ぶと、どうなるかな?
アツシ 悦ぶほど、攻撃に遭ったり、敗北を期したり、
    地獄に産まれ、怒りに悲しむ、ことになるな。
サトシ それなら、育成に励んだり、協力に努めたり、
    修羅に生まれ、怒りを慎むと、どうなるかな?
アツシ 謹むほど、価値に満たされ、才能に恵まれて、
    修羅を活きて、怒りを越える、ことになるな。
サトシ 確かに、修羅の時には、怒りを楽しめるけど、
    その間に、怒りに苦しみ、超えた方が良いね。
アツシ 修羅で摘み、地獄を越させる、法の仕組だな。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 地獄なき修羅 と 修羅なき地獄

 

サトミ 修羅と地獄、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 瞋を楽しむ、修羅って、どういうものかな?
メグミ 修羅とは、怒りを楽しみ、業を積むものだよ。
サトミ 瞋に苦しむ、地獄って、どういうものかな?
メグミ 地獄とは、怒りに苦しみ、業を摘むものだよ。
サトミ 修羅を望み、地獄に臨まないと、どうなるの?
メグミ 地獄なき修羅では、怒りを諦らめられないよ。
サトミ じゃ、瞋で苦しまず、瞋が止まらなくなるの?
メグミ そうよ、器に入らない、苦を抱えてしまうの。
サトミ 地獄を望み、修羅に臨まないと、どうなるの?
メグミ 修羅なき地獄では、怒りを明らめられないよ。
サトミ じゃ、瞋で楽しめず、瞋が燻っていくのかな?
メグミ そうよ、未だ知らない、楽を探してしまうの。
サトミ 修羅だけでは、楽が過ぎて、瞋に捕われて、
    地獄ばかりでは、苦が過ぎて、瞋に囚われる?
メグミ うん、修羅と地獄、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、地獄を救い、修羅を済っていくの?
メグミ そうなの、修羅を超え、地獄を越えていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 人間 と 修羅 と 天人

 

サトシ あのね、三善趣って、どういう世界なのかな?
マサシ 三善趣は、人間、修羅、天人のことなのさ。
サトシ 闘争を司る、修羅の世界は、どんな世界なの?
マサシ 修羅界は、価値の勝負に、挑み続ける世界さ。
サトシ 増上を司る、天人の世界は、どんな世界なの?
マサシ 天人界は、勝った自分に、酔い続ける世界さ。
サトシ 卑下を司る、人間の世界は、どんな世界なの?
マサシ 人間界は、負けた自分に、悔み続ける世界さ。
サトシ 悪趣の段は、他人の存在は、気にならなくて、
    善趣の階では、他人の存在が、気になるのか。
マサシ 善趣では、他を意識する、余裕が生じるから、
    価値を望む、勝負の世界に、巻き込まれるよ。
サトシ 本来なら、負けていても、価値は有るのに、
    勝たないと、価値も無いと、考えてしまうの?
マサシ そうだよ、比較しないと、価値が測れない。
サトシ 比較こそが、苦の原因って、解らないのかな?
マサシ 裏に在る、比べる歓びを、捨てられないのさ。
サトシ 天人は、善趣とはいえ、大したことないんだ。
マサシ こうして、較べる喜びを、棄てられないのさ。
サトシ ……………………

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