第四章 第七話 対話編
CASE 善趣 の裏に 悪趣
マナミ 善なる趣き、善趣って、どういうものなの?
マサシ 善趣は、煩悩の味著を司る、良くの世界だよ。
マナミ 悪なる趣き、悪趣って、どういうものなの?
マサシ 悪趣は、煩悩の過患を司る、良くの世界だよ。
マナミ 良く、楽しんでいる、世界が生まれるから、
良くで、苦しんでいる、世界が産れてくるの?
マサシ うん、良くを楽しむから、良くで苦しむのさ。
マナミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
マサシ じゃ、誰か得をするなら、誰か損をしている。
ここで、得を求め続けると、どうなると思う?
マナミ 他が損じ、差が生まれるから、欲が深くなる。
マサシ じゃ、誰か選ばれるなら、誰かが択ばれない。
ここで、我を選び続けると、どうなると想う?
マナミ 他を損じ、壁が産まれるから、我が強くなる。
マサシ そうさ、良くを巡らせれば、回り続けるのに、
良くしか、望まないから、刻し合いを続ける。
マナミ たとえ、良くなる間は、味著を楽しめても、
飽くまで、臨まない限り、過患に苦しむのね。
マサシ 善趣と悪趣、良くの廻りが、飽くまで続くよ。
マナミ ……………………!!
CASE 善趣 の先に 悪趣
サトミ 上位の欲界、善趣って、どういうものかな?
メグミ 善趣とは、三毒の味著を司る、善い世界だよ。
サトミ 下位の欲界、悪趣って、どういうものかな?
メグミ 悪趣とは、三毒の過患を司る、悪い世界だよ。
サトミ 六道の最上層、天人界は、どういう世界なの?
メグミ 天人は、愚痴の味著を司る、安楽の世界だよ。
サトミ 六道の第二層、修羅界は、どういう世界なの?
メグミ 修羅は、瞋恚の味著を司る、競争の世界だよ。
サトミ 六道の第三層、人間界は、どういう世界なの?
メグミ 人間は、貪欲の味著を司る、愛着の世界だよ。
サトミ 六道の第四層、餓鬼界は、どういう世界なの?
メグミ 餓鬼は、貪欲の過患を司る、渇望の世界だよ。
サトミ 六道の第五層、動物界は、どういう世界なの?
メグミ 動物は、愚痴の過患を司る、怠惰の世界だよ。
サトミ 六道の最下層、地獄界は、どういう世界なの?
メグミ 地獄は、瞋恚の過患を司る、苦痛の世界だよ。
サトミ じゃ、誰かが楽しむから、誰かが苦しむのね。
でもね、そんなことは、あたしに関係ないか。
メグミ これこそ、愚痴に始まる、欲界の創造なのよ。
サトミ ……………………
CASE 善趣 という 悪趣
サトシ 欲を楽しむ、善趣って、どういうものかな?
アツシ 善趣とは、良くを楽しみ、業を重ねるものだ。
サトシ 欲に苦しむ、悪趣って、どういうものかな?
アツシ 悪趣とは、良くに苦しみ、業を落とすものだ。
サトシ つまり、良くを楽しむ、善趣が存在するから、
その裏に、良くで苦しむ、悪趣が存在するの?
アツシ そうだ、善趣が生まれると、悪趣が埋まれる。
善趣で積み、悪趣で摘ませる、業の仕掛だな。
サトシ それなら、利得を望んだり、快楽を望んだり、
善趣に生まれ、良くを喜ぶと、どうなるかな?
アツシ それなら、損害に臨んだり、苦痛に臨んだり、
悪趣に産まれ、良くに悲しむ、ことになるな。
サトシ それなら、功徳を望んだり、利他を望んだり、
善趣に生まれ、良くを慎むと、どうなるかな?
アツシ それなら、智慧に臨んだり、慈悲に臨んだり、
善趣を活きて、良くを越える、ことになるな。
サトシ 確かに、善趣の時には、良くを楽しめるけど、
その間に、良くに苦しみ、超えた方が良いね。
アツシ 善趣で摘み、良くを越させる、法の仕組だな。
サトシ ……………………!!
CASE 悪趣なき善趣 と 善趣なき悪趣
サトミ 善趣と悪趣、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲を楽しむ、善趣って、どういうものかな?
メグミ 善趣とは、良くを楽しみ、業を積むものだよ。
サトミ 欲に苦しむ、悪趣って、どういうものかな?
メグミ 悪趣とは、良くに苦しみ、業を摘むものだよ。
サトミ 善趣を望み、悪趣に臨まないと、どうなるの?
メグミ 悪趣なき善趣では、良くを諦らめられないよ。
サトミ じゃ、欲で苦しまず、欲が止まらなくなるの?
メグミ そうよ、器に入らない、苦を抱えてしまうの。
サトミ 悪趣を望み、善趣に臨まないと、どうなるの?
メグミ 善趣なき悪趣では、良くを明らめられないよ。
サトミ じゃ、欲で楽しめず、欲が燻っていくのかな?
メグミ そうよ、未だ知らない、楽を探してしまうの。
サトミ 善趣だけでは、楽が過ぎて、欲に捕われて、
悪趣ばかりでは、苦が過ぎて、欲に囚われる?
メグミ うん、善趣と悪趣、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、悪趣を救い、善趣を済っていくの?
メグミ そうなの、善趣を超え、悪趣を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 天人 の裏に 畜生
マナミ デーヴァ、天人界って、どういうものなの?
マサシ 天人は、愚痴の味著を司る、迷いの世界だよ。
マナミ ティリヤンチュ、畜生は、どういうものなの?
マサシ 畜生は、愚痴の過患を司る、迷いの世界だよ。
マナミ 迷い、楽しんでいる、世界が生まれるから、
迷いで、苦しんでいる、世界が産れてくるの?
マサシ うん、迷いを楽しむから、迷いで苦しむのさ。
マナミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
マサシ じゃ、誰か逃げていると、誰か追ってしまう。
ここで、責を押し付けると、どうなると思う?
マナミ 弱肉強食、最も弱い所にまで、寄せ集まるの。
マサシ じゃ、今に酔っていると、後に醒めてしまう。
ここで、先に延し続けると、どうなると想う?
マナミ 酔生夢死、最も痛い時にこそ、突き刺さるの。
マサシ そうさ、悟りを巡らせれば、覚醒に至るのに、
酔いしか、望まないから、騙し合いを続ける。
マナミ たとえ、良くなる間は、吉夢を楽しめても、
悟りまで、臨まない限り、悪夢に苦しむのね。
マサシ 天人と畜生、迷いの廻りが、飽くまで続くよ。
マナミ ……………………!!
CASE 天人 の先に 畜生
サトミ あたしも、人々のアイドルに、為りたいな。
人気だけで、暮していけるのよ、素敵でしょ。
メグミ 止めなよ、人の心を弄ぶのは、良くないから。
サトミ どうしてよ、人心を操れば、大金が集まるよ。
メグミ 人の心で、楽していると、人の心で苦しむの。
心を弄ぶと、心を玩ばれる、道を進まされる。
サトミ そんなの、沈んだ時代の、考え方じゃない。
浮れる時は、心で遊んでも、構わないでしょ。
メグミ 追って、楽しんでいる、天人が生まれるから、
負われて、苦しんでいる、畜生が埋まれるの。
サトミ 心を弄んで、笑ったり、愉しんだりするから、
心を玩ばれて、泣いたり、悲しんだりするの?
メグミ たとえ、現在の自分が、苦しんでいなくても、
現在の他者や、未来の自分が、裏で苦しむの。
サトミ もうっ、詰まらないことを、言っていないで、
あたしと、偶像の世界で、人気者に成ろうよ。
メグミ わたし、心を磨く道を、進んで生きたいの。
サトミ あたしは、心を操る道を、勧めて行きたいの。
メグミ そのさきは、覚めたくても、醒められないよ。
サトミ ……………………
CASE 天人 という 畜生
サトシ 迷い楽しむ、天人って、どういうものかな?
アツシ 天人とは、迷いを楽しみ、業を重ねるものだ。
サトシ 迷い苦しむ、畜生って、どういうものかな?
アツシ 畜生とは、迷いに苦しみ、業を落とすものだ。
サトシ つまり、迷いを楽しむ、天人が存在するから、
その裏に、迷いで苦しむ、畜生が存在するの?
アツシ そうだ、天人が生まれると、畜生が埋まれる。
天人が積み、畜生に摘ませる、業の仕掛だな。
サトシ それなら、幻想に耽ったり、安寧に酔ったり、
天人に生まれ、迷いを喜ぶと、どうなるかな?
アツシ 悦ぶほど、悪夢に脅えたり、恐怖に怯えたり、
畜生に産まれ、迷いに悲しむ、ことになるな。
サトシ それなら、真理を修めたり、真実を説いたり、
天人に生まれ、迷いを慎むと、どうなるかな?
アツシ 謹むほど、慢心が消えたり、無智が晴れたり、
天人を活きて、迷いを越える、ことになるな。
サトシ 確かに、天人の時には、迷いを楽しめるけど、
その間に、迷いに苦しみ、超えた方が良いね。
アツシ 天人で摘み、畜生を越させる、法の仕組だな。
サトシ ……………………!!
CASE 畜生なき天人 と 天人なき畜生
サトミ 天人と畜生、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 痴を楽しむ、天人って、どういうものかな?
メグミ 天人とは、迷いを楽しみ、業を積むものだよ。
サトミ 痴に苦しむ、畜生って、どういうものかな?
メグミ 畜生とは、迷いに苦しみ、業を摘むものだよ。
サトミ 天人を望み、畜生に臨まないと、どうなるの?
メグミ 畜生なき天人では、迷いを諦らめられないよ。
サトミ じゃ、痴で苦しまず、痴が止まらなくなるの?
メグミ そうよ、器に入らない、苦を抱えてしまうの。
サトミ 畜生を望み、天人に臨まないと、どうなるの?
メグミ 天人なき畜生では、迷いを明らめられないよ。
サトミ じゃ、痴で楽しめず、痴が燻っていくのかな?
メグミ そうよ、未だ知らない、楽を探してしまうの。
サトミ 天人だけでは、楽が過ぎて、瞋に捕われて、
畜生ばかりでは、苦が過ぎて、瞋に囚われる?
メグミ うん、天人と畜生、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、畜生を救い、天人を済っていくの?
メグミ そうなの、天人を超え、畜生を越えていくの。
サトミ ……………………!!