物語編
第四章 第九話 物語編
第四章 与楽 と 離楽
第九話 味著を与える と 味著を離れる
自らが為したことを、彼らは為しているだけと、
私は放って置くことで、自らの業を落していたが、
何も講じずにいると、由々しきことが起こり始めた。
私が何も言わないと、人々は組織を作り始めて、
仏の為という大義の下、財を集めるようになった。
そして、私が留まりやすいように、家が建てられた。
確かに、落ち着ける場所が、私にも出来たのは、
有り難いことかもしれないが、居着いてしまうと、
それこそ、仏を探す目的が、名ばかりになっていく。
それに加え、私が一か所に留まるようになると、
此の村の人は、私と出会った順が早い方が偉いと、
意味のない、序列を作って、囚われるようになった。
当然、此の村に来る前には、別の村に私は居て、
其処で、出会った人々が、何人も居るわけだから、
此の位が、無意味なことは、誰でも解かる筈だった。
しかし、何時でも、此処に居ると思わせるほど、
私が、何処にいても、問題は無いと想えなくなり、
人々は、どれだけ、私と近いかを競うようになった。