ＣＡＳＥ　与楽　の裏に　離楽

マナミ　楽を与える、与楽って、どういうものなの？
マサシ　与楽とは、善業を積んで、楽を受けることさ。
マナミ　じゃあ、善業を重ねるには、どうするのかな？
マサシ　楽しみを、他に押し付け、我に留めないのさ。
マナミ　自らの楽を、他に巡らすと、善業を積むの？
マサシ　そうだよ、楽を介すから、他に捕らわれるよ。
マナミ　楽を離れる、離楽って、どういうものなの？
マサシ　離楽とは、善業を摘んで、楽を離れることさ。
マナミ　じゃあ、善業を落とすには、どうするのかな？
マサシ　楽しみを、我に受け止め、他に回さないのさ。
マナミ　自らの楽を、我に容れると、善業を摘むの？
マサシ　そうだよ、楽を解すから、他に囚われないよ。
マナミ　善業を積むと、楽が増えて、捕らわれるし、
　　　　善業を摘むなら、楽が減って、囚われないの？
マサシ　楽を望むなら、善い業を積めば、良いだけ。
　　　　楽を越えるなら、善い業を摘めば、良いのさ。
マナミ　楽しみは、望みたいけど、捕われたくはない。
　　　　その向きが、乖離するから、抜け出し難いの？
マサシ　その通り、善業を越える方が、割りと厳しい。
マナミ　……………………

ＣＡＳＥ　与楽　の先に　離楽

サトミ　楽が生じる、与楽って、どういうものかな？
メグミ　与楽とは、善に捕われて、善を重ねることよ。
サトミ　我に縛られ、善を積むって、どういうこと？
メグミ　楽に囚われて、楽を増やして、伝えることよ。
サトミ　楽を感じて、良いと思って、伝えることなの？
メグミ　念が和すから、楽しい想いが、大きくなるよ。
サトミ　楽が消える、離楽って、どういうものかな？
メグミ　離楽とは、善に捕われず、善を越えることよ。
サトミ　我に塗れず、善を摘むって、どういうこと？
メグミ　楽に囚われず、楽を減らして、伝えることよ。
サトミ　楽を感じて、良いと思わず、伝えることなの？
メグミ　念が刻すから、楽しい想いが、小さくなるよ。
サトミ　そうすると、未来へにせよ、他者へにせよ、
　　　　我が元に、巡ったものを、どう伝えるかなの？
メグミ　そうよ、楽しいと傳えれば、善業を積んで、
　　　　逆に、楽しくないと伝えれば、善業を摘むよ。
サトミ　じゃあ、自らの所に、楽しみが巡って来たら、
　　　　どんどん、楽を増やし、廻らせれば良いよね？
メグミ　うふっ、そこは、私とは、念が刻する処かな。
サトミ　……………………

ＣＡＳＥ　善　趣　の　済　度

サトシ　どのように、善趣の衆生は、救われるのかな？
マサシ　楽しいと、悪業を摘むことが、極端に難しい。
　　　　だから、善業を積むことが、救済に為るのさ。
サトシ　それなら、どうするとき、善業を積むのかな？
マサシ　他から、楽を受けたら、他に楽を与えるのさ。
サトシ　楽しみが、自と他の間を、巡るようになるの？
マサシ　そうさ、楽を与え合い、楽に縛り付けられる。
サトシ　それなら、どうするとき、善業を摘むのかな？
マサシ　他から、楽を受けたら、自ら楽を止めるのさ。
サトシ　楽しみが、自と他の間を、廻らなくなるの？
マサシ　そうさ、楽を受け容れ、楽を乗り越えられる。
サトシ　じゃ、思い通りに成って、楽しいときほど、
　　　　それを、他と分かち合って、愉しめばいいの？
マサシ　うん、楽を突き詰めれば、楽の因が増すし、
　　　　さらに、楽を開け放てれば、楽の縁が増すよ。
サトシ　なるほど、楽が増すほど、救済になるんだね。
マサシ　善い世界と、縁を作るほど、済度になるのさ。
サトシ　善趣では、出離と済度が、違う向きなんだね。
マサシ　そうさ、それに気づいたら、解脱に向かうよ。
サトシ　……………………！！

ＣＡＳＥ　離楽なき与楽　と　与楽なき離楽

サトミ　与楽と離楽、どちらを、重んじるべきかな？
メグミ　どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ　善を与える、与楽って、どういうものかな？
メグミ　与楽とは、善果を受けて、善業を積むことよ。
サトミ　善を離れる、離楽って、どういうものかな？
メグミ　離楽とは、善果を受けて、善業を摘むことよ。
サトミ　与楽を望み、離楽に臨まないと、どうなるの？
メグミ　離楽なき与楽なんて、楽に感けているだけよ。
サトミ　じゃ、楽しい楽しいと、楽に捕われているの？
メグミ　そうよ、楽が大きくなり、器を溢れ出すのよ。
サトミ　離楽を望み、与楽に臨まないと、どうなるの？
メグミ　与楽なき離楽なんて、楽を避けているだけよ。
サトミ　じゃ、楽は要らないと、楽に囚われているの？
メグミ　そうよ、器が小さくなり、楽が溢れ返るのよ。
サトミ　与楽だけでは、楽が勝って、負い切れないし、
　　　　離楽ばかりでは、器が負けて、追い切れない。
メグミ　うん、与楽と離楽、その両方が、必要なのよ。
サトミ　じゃあ、離楽に依り、与楽に拠っていくの？
メグミ　そうなの、与楽を究め、離楽を極めていくの。
サトミ　……………………！！