第四章　　　　　宿命通
第十二回　前生　の裏に　後生

前生は、今生より前に、生まれて来ること
後生とは、今生から後に、産まれて来ること
前生は、今生の原因として、相応しい生であり
後生とは、今生の結果として、相応しい生である

現在を念じてないと、実感が漏れてしまい
実感を埋め合せるのに、因果が必要とされる
今生の原因を探るために、前生が生まれてきて
今生の結果を求めるために、後生が産まれてくる

現在を念じていると、実感が漏れなくなり
実感が満ち足りるため、因果を必要としない
今生の原因に捕らわれず、前生が消されていき
今生の結果にも囚らわれず、後生が失われていく

宿命通は、有るとも言え、無いとも言える
転生を究めていくと、今生に極められること
転生を望んでいる者は、輪廻が有ると説かれて
今生に臨んでいる者には、転生は無いと解かれる