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物語編

第四章 第十一話 対話編

CASE 有漏 の裏に 無漏

 

マナミ サースラバ、有漏って、どういうものなの?
マサシ 有漏とは、煩悩が有るから、漏れが有るのさ。
マナミ 煩悩が有ると、どうして、漏れが生じるの?
マサシ 自他の差別が生じて、自分を特別視するのさ。
マナミ 自分を例外にしている、因果を作り上げるの?
マサシ うん、自我の特異点から、実感が漏れるのさ。
マナミ アナースラバ、無漏は、どういうものなの?
マサシ 無漏とは、煩悩が無いから、漏れが無いのさ。
マナミ 煩悩が無いと、どうして、漏れが尽きるの?
マサシ 自他の差別が消えて、自分だけ特別視しない。
マナミ 自分を例外にはしない、因果を作り上げるの?
マサシ うん、特異点が無いから、実感が溜まるのさ。
マナミ 自分が、特別と思うと、世界が歪んでしまい、
    本来、湧き上がる実感が、漏れ出てしまうの?
マサシ そうさ、自分と他人を、等しく捉えられると、
    漏れが無くなるから、実感が満ち足りるのさ。
マナミ う~ん、自分のことを、例外にしないって、
    そんな難しいの、私なら、簡単に出来るけど。
マサシ ほらね、無意識に、自分を、例外にするのさ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 有漏 の先に 無漏

 

サトミ 漏れが有る、有漏って、どういうものかな?
メグミ 有漏とは、例外を許して、因果を辿ることよ。
サトミ 例外が有る、因果を辿ると、どうなるのかな?
メグミ 特異な点から、実感が漏れて、外に流れるよ。
サトミ その実感は、何所に生じて、何処に広がるの?
メグミ 少しずつ、今の自分から、他や未来に移るよ。
サトミ 漏れが無い、無漏って、どういうものかな?
メグミ 無漏とは、例外を赦さず、因果を辿ることよ。
サトミ 例外が無い、因果を辿ると、どうなるのかな?
メグミ 特殊な点から、実感が漏れず、内に満ちるよ。
サトミ その実感は、何処に招じて、何所に狭まるの?
メグミ 少しずつ、他や未来から、今の自分に写るよ。
サトミ つまり、現在の自分が、例外と考えるから、
    どんどん、未来や他者に、実感が漏れるのね。
メグミ そうよ、総ての存在を、平等に捉えるほど、
    どんどん、現在の自分に、実感が集まるのよ。
サトミ そっか、いま、この瞬間に、全てが存在する。
    総べてを、認めないから、自我の旅が始った。
メグミ 全てを、見とめられる、その日まで続くのよ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 有漏 という 無漏

 

サトシ 煩悩が有る、有漏って、どういうものかな?
アツシ 有漏とは、煩悩を持って、漏れを生むことだ。
サトシ 我が有ると、漏れ出すのは、どうしてかな?
アツシ 思いの儘、自我ばかりを、特別に見るからだ。
サトシ 自我だけを、不等に見ると、どうなるのかな?
アツシ 業が生まれて、因果の応報に、巻き込まれる。
サトシ 煩悩が無い、無漏って、どういうものかな?
アツシ 無漏とは、煩悩を滅して、漏れを尽すことだ。
サトシ 我が無いと、湧き出すのは、どうしてかな?
アツシ 在りの侭、自然すべてを、普遍に見るからだ。
サトシ 他我までも、平等に見ると、どうなるのかな?
アツシ 法が産まれて、因果の朗報に、包み込まれる。
サトシ つまり、自然と自我が、別れてしまったから、
    強制的に、元に戻すため、業が積み重なるの?
アツシ そうだ、切り捨てたものを、受け容れさせて、
    総て、平等に見えるまで、現実が迫ってくる。
サトシ そして、在りのままに、見える様になったら、
    すべてが、美しく輝いて、見えて来るわけか。
アツシ そうだ、このように、因果の朗報に包まれる。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 無漏なき有漏 と 有漏なき無漏

 

サトミ 有漏と無漏、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 例外が有る、有漏って、どういうものかな?
メグミ 有漏とは、自我を捕えて、穴が産れることよ。
サトミ 例外が無い、無漏って、どういうものかな?
メグミ 無漏とは、自然に捉えて、穴が埋まることよ。
サトミ 有漏を望み、無漏に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無漏なき有漏なんて、漏れ続けるだけだよ。
サトミ じゃ、例外が埋まらず、実感が漏れていくの?
メグミ そうよ、漏れが続くから、悩みも尽きないよ。
サトミ 無漏を望み、有漏に臨まないと、どうなるの?
メグミ 有漏なき無漏なんて、溜り続けるだけだよ。
サトミ じゃ、例外が生まれず、実感が溜っていくの?
メグミ そうよ、漏れが無いから、学びも無くなるの。
サトミ 有漏だけは、延びるだけで、救えなくなり、
    無漏ばかりは、満ちるだけで、学べなくなる?
メグミ うん、有漏と無漏、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、無漏を追い、有漏を負っていくの?
メグミ そうなの、有漏を透し、無漏を徹していくの。
サトミ ……………………!!

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