第四章 第十八話 対話編
CASE 天人 の裏に 菩薩
マナミ 欲界の神々、天人って、どういうものなの?
マサシ 天人とは、欲天に住んで、衆生を救うものさ。
マナミ どのように、欲界の天人は、地の人を救うの?
マサシ 神として、人界に現れて、奇跡を魅せるのさ。
マナミ 地上に、神の形を顕わすと、どうなるのかな?
マサシ 神の力に、人が頼るから、自ら育たなくなる。
マナミ 色界の神々、菩薩って、どういうものなの?
マサシ 菩薩とは、色天に住んで、衆生を救うものさ。
マナミ どのように、色界の菩薩は、地の人を救うの?
マサシ 人として、人界に生まれ、手本を見せるのさ。
マナミ 人々に、人の型を現わすと、どうなるのかな?
マサシ 良き型に、人が倣うから、自ら育っていくよ。
マナミ う~ん、神の力を使う方が、救えそうだけど、
人が自ら、育たなくなるから、救えないのね。
マサシ だからこそ、神は人に不介入が、原則なのさ。
上から眺めて、人を救うのは、慢に過ぎない。
マナミ なるほどね、どうしても、人を救いたければ、
人の姿に、生れ変わり、人を救うしかないと。
マサシ そうさ、その覚悟が無いと、菩薩じゃないよ。
マナミ ……………………!!
CASE 天人 の先に 菩薩
サトミ 欲天に誘う、天人って、どういうものかな?
メグミ 天人とは、天に表われて、地を誘うものだよ。
サトミ 神々の姿を、人に魅せると、どうなるのかな?
メグミ 神として、民が縋るから、人が育たないのよ。
サトミ 天人は、飽くを良くするを、救いと考えるの?
メグミ 欲の神は、欲の世界から、抜け出してないの。
サトミ 色天に導く、菩薩って、どういうものかな?
メグミ 菩薩とは、地に生まれて、人を導くものだよ。
サトミ 人々の姿で、人に見せると、どうなるのかな?
メグミ 型として、民が倣うから、人を育てられるよ。
サトミ 菩薩は、良くを解くことを、救いと考えるの?
メグミ 徳の神は、欲の世界から、抜け出しているの。
サトミ たとえ、飽くを良くしても、再び飽くだけ。
良く、飽くを解かないと、救い切れてないの?
メグミ そうよ、欲天には行けても、その次は地獄よ。
サトミ じゃ、どうして、天人は、そんなことするの?
メグミ 天人は、それを善いと考え、疑わないからよ。
サトミ 何も知らず、信じる人が、可愛そうじゃない。
メグミ 天人自身、嵌っているから、可哀そうなのよ。
サトミ ……………………
CASE 天人 という 菩薩
サトシ 良くを説く、天人って、どういうものかな?
アツシ 天人とは、善くを説いて、欲天に誘うものだ。
サトシ 善を愛して、悪を憎めって、欲を説くのかな?
アツシ 楽を望んでも、苦は臨むなと、夢が説かれる。
サトシ 目が眩らむ、法を説いたら、誰でも信じるね。
アツシ 良くに駆られ、天国に昇って、地獄に堕ちる。
サトシ 良くを解く、菩薩って、どういうものかな?
アツシ 菩薩とは、解くを説いて、色天に導くものだ。
サトシ 善を譲って、悪を許せって、徳を説くのかな?
アツシ 楽を望んだら、苦も愉しめと、空が解かれる。
サトシ 目が覚める、法を解いても、誰も信じないね。
アツシ 良くが解けて、浄土に昇って、済度に降りる。
サトシ 天の教えは、善かれと思い、輪廻に誘うけど、
菩薩の教えは、良かれと想い、解脱に導くの?
アツシ その通りだ、善と徳の違いはな、実に大きい。
サトシ う~ん、天人って、菩薩の邪魔になってない?
アツシ ああ、善かれと思い、必死に邪魔しているな。
サトシ つまり、願いを適えて、支配する悪魔だよね?
アツシ ああ、解けてしまったか、天人の主は悪魔だ。
サトシ ……………………
CASE 菩薩なき天人 と 天人なき菩薩
サトミ 天人と菩薩、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲を治める、天人って、どういうものかな?
メグミ 天人とは、良くを適えて、輪廻に誘うものよ。
サトミ 徳を修める、菩薩って、どういうものかな?
メグミ 菩薩とは、良くを解いて、解脱に導くものよ。
サトミ 天人を望み、菩薩に臨まないと、どうなるの?
メグミ 菩薩なき天人なんて、唯の悪魔に過ぎないよ。
サトミ じゃ、良くが適っても、解くが叶わないの?
メグミ そうよ、良くが詰まって、飽くが早くなるの。
サトミ 菩薩を望み、天人に臨まないと、どうなるの?
メグミ 天人なき菩薩なんて、只の仏陀に過ぎないよ。
サトミ じゃ、解くが叶っても、良くが適わないの?
メグミ そうよ、解くが詰まって、空くが早くなるの。
サトミ 天人だけでは、仏陀が居ず、悪魔が飽くし、
菩薩ばかりでは、悪魔が居ず、仏陀が空くの?
メグミ うん、天人と菩薩、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、菩薩を追い、天人を負っていくの?
メグミ そうなの、天人を究め、菩薩を極めていくの。
サトミ ……………………!!