第四章 第十九話 対話編
CASE 邪神 の裏に 正神
マナミ 邪なる神々、邪神って、どういうものなの?
マサシ 邪神とは、偏愛を説いて、堕落に誘う神だよ。
マナミ 欲に基づく、偏愛って、どういうものなの?
マサシ 好き嫌いして、嫌な事を、切り捨てることさ。
マナミ 善くを勧め、悪に進ませる、教えを説くの?
マサシ そうだよ、先に善くても、後から悪くなるよ。
マナミ 欲を適えて、欲で支配する、悪魔のことなの?
マサシ 世の人は、善い神だって、思っているけどね。
マナミ 正しい神々、正神って、どういうものなの?
マサシ 正神とは、博愛を解いて、向上に導く神だよ。
マナミ 徳に基づく、博愛って、どういうものなの?
マサシ 好き嫌いせず、有り難く、受け容れることさ。
マナミ 解くを勧め、徳に進ませる、教えを解くの?
マサシ そうだよ、先に辛くても、後から喜べるのさ。
マナミ 欲を越えて、徳で済度する、菩薩のことなの?
マサシ 世の人は、悪い神だって、想っているけどね。
マナミ 甘言を弄し、堕落させると、崇がめられて、
諫言を呈して、向上させると、煙たがられる。
マサシ それでも、穏かに、正神は、受け容れるのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 邪神 の先に 正神
サトミ 愛を騙る神、邪神って、どういうものかな?
メグミ 邪神とは、語って見せて、愛を説く神なのよ。
サトミ 誰か選んで、愛を説くとき、どうなるのかな?
メグミ 其の人は、特別に愛されたと、思い始めるよ。
サトミ 選んだ人が、愛を騙ったら、どうなるのかな?
メグミ 世の人は、愛されるため、愛すようになるよ。
サトミ 偏って、愛していると、邪まな愛が広がるの?
メグミ 邪神ほど、愛を騙るから、愛が汚されるのよ。
サトミ 愛を示す神、正神って、どういうものかな?
メグミ 正神とは、黙って見せて、愛を解く神なのよ。
サトミ 総ての人に、愛を解くとき、どうなるのかな?
メグミ 世の人は、特に愛されないと、思い始めるよ。
サトミ 諦めた人が、愛を示したら、どうなるのかな?
メグミ 世の人は、愛されずとも、愛すようになるよ。
サトミ 黙って、愛していると、正しい愛が広がるの?
メグミ 正神ほど、愛を示すから、愛が清められるよ。
サトミ 雄弁に騙り、愛を貶めると、重んじられて、
沈黙で語って、愛し続けると、軽んじられる。
メグミ それでも、静かに、正神は、慈しんでいるの。
サトミ ……………………!!
CASE 邪神 という 正神
サトシ 低級なる霊、邪神って、どういうものかな?
アツシ 邪神とは、雄弁を持って、人類を誘う神だな。
サトシ こうなると、預言を説いて、関ってくるの?
アツシ 霊言を通して、人類に対して、干渉し続ける。
サトシ 人には見えない、未来を説くと、どうなるの?
アツシ 人々は、自ら解せずに、他を介すようになる。
サトシ 外なる神を望み、外に頼るほど、どうなるの?
アツシ 従うか叛くか、善い子と悪い子に、分離する。
サトシ 高級なる霊、正神って、どういうものかな?
アツシ 正神とは、沈黙を以って、人類を導く神だな。
サトシ こうである、現実を解いて、任せているの?
アツシ 無言を徹して、人類に対して、見守り続ける。
サトシ 人にも見とめる、現在を解くと、どうなるの?
アツシ 人々は、他を介さずに、自ら解すようになる。
サトシ 内なる神に臨み、内に拠るほど、どうなるの?
アツシ 親の想いを解して、子が親にまで、成長する。
サトシ 夢を魅せると、頼もしいと、子に甘えられ、
夢から覚ますと、詰らないと、子に侮られる。
アツシ それでも、厳かに、正神は、導いているんだ。
サトシ ……………………!!
CASE 正神なき邪神 と 邪神なき正神
サトミ 邪神と正神、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 良くが深い、邪神って、どういうものかな?
メグミ 邪神とは、偏りを持って、人類を誘う神だよ。
サトミ 解くが広い、正神って、どういうものかな?
メグミ 正神とは、悟りを以って、人類を導く神だよ。
サトミ 邪神を望み、正神に臨まないと、どうなるの?
メグミ 正神なき邪神なんて、闇に堕ちていくだけよ。
サトミ じゃ、偏らせるけれど、悟らせないのかな?
メグミ そうよ、欲を越えないと、空に還れないのよ。
サトミ 正神を望み、邪神に臨まないと、どうなるの?
メグミ 邪神なき正神なんて、空に浮んでいるだけよ。
サトミ じゃ、悟らせるけれど、偏らせないのかな?
メグミ そうよ、欲を持たないと、地に止まれないよ。
サトミ 邪神だけでは、偏り過ぎて、頂に留まれず、
正神ばかりでは、悟り過ぎて、麓に止れない。
メグミ うん、邪神と正神、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、正神を追い、邪神を負っていくの?
メグミ そうなの、邪神を究め、正神を極めていくの。
サトミ ……………………!!