物語編
第四章 第二一話 物語編
第四章 慚愧 と 憐憫
第二一話 心から悲しむ と 他から哀れむ
〈此の地は、汝が来る前は、人界でありながら、
さながら、天界のように、人々は生活をしていた。
各々が、内なる良心を認め、相互いに敬意を払った。〉
〈其処に、救世主を探し求める、貴様が現れた。
貴様は、絶対善を外に求めて、探し回っていたが、
その結果、無垢なる人々が、影響を受けてしまった。〉
〈純粋ではあるが、智慧がなかった世の人々は、
貴様に誘われて、内なる神が存在するのを忘れて、
決して存在しない、外なる神を求め出してしまった。〉
〈決して存在しない、神を探し続ける虚しさを、
人々は、外なるもので、埋め合わせるようになり、
彼らから、奪い合いが生まれて、譲り合いが消えた。〉
〈誰でも、何時でも、内なる神に愛されている。
真理を忘れ、疑心暗鬼になり、敵と味方に別れた。
そして、友を愛す代わりに、敵を憎んで良しとする。〉
〈貴様が来たおかげで、この地は末法を迎えた。
天国であった世界が、地獄のような世界になった。
この大いなる罪を、無視出来ると、よもや思うまい。〉
〈まさか、知らなかったで、済むと思うまいな。
老師に、命じられただけだと、他には着せまいな。
この、深刻な罪を償うため、俺は貴様の前に現れた。〉