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物語編

第四章 第二三話 対話編

CASE 不動 の裏に 平等

 

マナミ ウペッカー、捨の心は、どういうものなの?
マサシ 捨とは、捨て離れて、何も囚われないものさ。
マナミ 動きが無い、不動心は、どういうものなの?
マサシ 捨の心が、自らに対して、向けられたものさ。
マナミ じゃあ、何事にも、無関心で居れば良いの?
マサシ いや、それだけだと、巻き込まれると動じる。
マナミ 接近しても、執着はしない、無頓着が良いの?
マサシ うん、何が起ころうとも、無為自然が良いよ。
マナミ 偏りが無い、平等心は、どういうものなの?
マサシ 捨の心が、周りに対して、向けられたものさ。
マナミ じゃあ、何人にも、無分別で居れば良いの?
マサシ いや、それだけだと、巻き込まれると偏るよ。
マナミ 区別しても、差別はしない、無差別が良いの?
マサシ うん、全ては一つである、万物斉同が良いよ。
マナミ それなら、自らに対しても、周りに対しても、
    放棄を促す、菩薩の捨こそが、菩提の心なの

マサシ そうさ、徒に離れようと、巻き込まれるだけ。
マナミ ひたすら、捨の心を培うと、何が見えるの?
マサシ 陰と陽、総じて空となる、浄居天が見えるよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 不動 の先に 平等

 

サトミ 内を捨てる、不動って、どういうものかな?
メグミ 不動とは、自らに対して、欲を離れることよ。
サトミ 外を棄てる、平等って、どういうものかな?
メグミ 平等とは、周りに向って、欲を離れることよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことかな?
メグミ じゃ、不動を抱かず、捨棄と言えると思う?
サトミ ううん、そんな捨では、蘇える棄になるだけ。
    いつでも、離れなければ、いつか拾っている。
メグミ じゃ、平等を擁かず、捨棄と言えると想う?
サトミ ううん、そんな捨では、拾える棄になるだけ。
    なんでも、離れなければ、なにか拾っている。
メグミ つまり、我が欲も他の欲も、乗り越えるもの。
    そういう、不動が生まれ、平等が産まれるの。
サトミ そっか、不動を怠れば、平等も研けないし、
    逆に、平等を惰れば、不動も磨けないわけね。
メグミ そうよ、不動と平等が、捨棄を蘇らせるし、
    引いては、貪欲が癒えて、解脱を甦らせるの。
サトミ 貪りの心は、捨棄を培えば、消えていくのね。
メグミ 全く動じずに、総てを均せば、癒えていくよ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 不動 という 平等

 

サトシ 塗れる思い、貪欲って、どういうものかな?
アツシ 貪欲とは、煩悩を持って、欲界に至る心だな。
サトシ 貪りの心に、捕らわれると、欲界に堕するの?
アツシ そうだな、自他に分けて、衆生の世界になる。
サトシ 離れる想い、捨離って、どういうものかな?
アツシ 捨離とは、菩提を以って、色界に到る心だな。
サトシ 離れる心を、培っていると、色界に脱するの?
アツシ そうだな、自他を越えて、菩薩の世界になる。
サトシ 内なる捨離、不動って、どういうものかな?
アツシ 不動とは、捨離を持って、我を捨てることだ。
サトシ 内を捨てて、外を離れないと、どうなるの?
アツシ 自ずから、自と他が分れて、貪りが深くなる。
サトシ 外なる捨離、平等って、どういうものかな?
アツシ 平等とは、捨離を以って、他を離れることだ。
サトシ 外を捨てて、内を離れないと、どうなるの?
アツシ 自ずから、自と他が別れて、貪りが強くなる。
サトシ そっか、菩提を以って、煩悩を持っていたら、
    本末転倒、というか、本当に勘弁して欲しい。
アツシ 確かに、そうだが、そこは、巻き込まれるな。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 平等なき不動 と 不動なき平等

 

サトミ 不動と平等、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 我を捨てる、不動って、どういうものかな?
メグミ 不動とは、捨の心が、内に湧き上ることだよ。
サトミ 他を離れる、平等って、どういうものかな?
メグミ 平等とは、捨の心が、外に溢れ出るものだよ。
サトミ 不動を望み、平等に臨まないと、どうなるの?
メグミ 平等なき不動なんて、偏った捨に過ぎないよ。
サトミ じゃ、我を捨てるけど、他を離れないのかな?
メグミ そうよ、他に泥むように、我に拘ってしまう。
サトミ 平等を望み、不動に臨まないと、どうなるの?
メグミ 不動なき平等なんて、騙った捨に過ぎないよ。
サトミ じゃ、他を離れるけど、我を捨てないのかな?
メグミ そうよ、我に拘るように、他に泥んでしまう。
サトミ 不動だけは、偏ってしまい、拘っていくし、
    平等ばかりは、騙ってしまい、泥んでいくの?
メグミ うん、不動と平等、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、平等に依り、不動に拠っていくの?
メグミ そうなの、不動を究め、平等を極めていくの。
サトミ ……………………!!

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