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物語編

第四章 第二四話 物語編

第四章    衆生   と   羅漢
第二四話 善を望むもの と 徳に臨むもの

 

私が戻って来たのを見て、男は、笑いながら言った。

 

これ以上、黙り続けて、非を認めないならば、
汝の命を、取って終おうと、思っていたところだ。
前生の如く、総べてを忘れて、最初から遣り直せと。

 

流石に、鈍い貴様でも、気が付いたようだな。
しかし、斯くまで煽ったら、誰でも解かるだろう。
道理ばかりでなく、状況まで揃えて、証して見せた。

 

些か、煽り過ぎて、似過ぎてしまったようだ。
不自然に、演じ過ぎて、露骨に成り過ぎていたか。
無理に、偏った分は、後から埋め合わせるしかない。

 

実は、もう一段階、仕組みを用意しておいた。
汝が、私を刺した場合、馴染みの顔に移り変わり、
その顔を以って、汝に認めさせる、段階まであった。

 

しかし、もし、そこまで、遣って終ったなら、
以前と、全く変わらない、悉く等しいことになる。
これまで、何の進歩も無かったと、認めるに等しい。

 

仏陀は、咽び泣いている、私の頭を撫でながら、
おいおい、終わった積りか、何も果たしてないと、
むしろ、これからだと笑って、光の中に消え去った。

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