第四章　　　　　地獄道
第二七回　他害　の裏に　自害

憎悪は、危める思い、地獄に至る心のこと
慈愛とは、愛する想い、地獄を去る心のこと
憎悪は、害しようとする、憎しみの思いであり
慈愛とは、利しようとする、慈しみの想いである

他害とは、他を害する、憎悪の味著のこと
例えば、我を危める者を、自らが殺めるなら
先ず、敵が居なくなり、自らを利すことになる
憎悪の味著を思い知ると、憎悪に捕われてしまう

自害とは、我を害する、憎悪の過患のこと
続いて、我を危める者を、自ずと殺めるなら
後に、誰も居なくなり、自らを害すことになる
憎悪の過患を想い知ると、憎悪に囚われなくなる

地獄道は、瞋恚を司る、地獄の世界であり
他害が究められると、自害に極められること
憎悪に捕われると、地獄の世界まで堕ちていき
憎悪に囚われないと、地獄の世界から昇っていく