物語編
第四章 第二八話 物語編
第四章 自慰 と 自傷
第二八話 快楽を究める と 苦痛を極める
「第二、君らは、決して、財を盗んではならぬ。
他の財を偸む者は、必ずや、自らの財が盗まれて、
人々の財を守る者は、必ずや、自身の財も護られる。」
すると、別の者が、立ち上がり、静かに尋ねた。
〈我が師よ、金を貸して、財を増やす生業がある。
これに関して、どのように、考えれば良いだろうか。〉
「我が財を、守りたいなら、利子を断ちなさい。
断てない者が、絶たずに済む、根拠を説くだろう。
異教徒は獣以下だから、利子を取っても構わないと。」
〈師よ、税を寄せ集める時は、どう考えるのか。〉
「自らは、仏の道を進んで、他の財を守りなさい。
其れ故、仏の道を選んでない、他の者に委ねなさい。」
〈師よ、財で罪を贖う教えは、どう考えるのか。〉
「自らは、神の道を勧めて、欲の罠を離れなさい。
其れ故、神の道を択んでない、他の者に任せなさい。」
〈不偸盗の戒、一斉に守る事は、出来ないのか。〉
「出来ない、選ばれない民の上に、仏の道に臨む。
択ばれた事を、有り難く受け止めて、神の道を望め。」