第四章 第二四話 対話編
CASE 衆生 の裏に 羅漢
マナミ サットヴァ、衆生って、どういうものなの?
マサシ 衆生とは、生命を享けて、使命を逃すものよ。
マナミ 命が解らず、命が尽きると、どうなるのかな?
マサシ 生命の終りに、幽閉か転生か、選ぶ事になる。
マナミ 命を望まず、幽閉に臨むと、どうなるのかな?
マサシ 業が変わらず、同じ生き様を、眺め続けるよ。
マナミ 命を望んで、転生に臨むと、どうなるのかな?
マサシ 業が換るまで、違う活き方に、挑み続けるよ。
マナミ アラハット、羅漢って、どういうものなの?
マサシ 羅漢とは、生命を受けて、使命を果すものよ。
マナミ 命を解して、命を果たすと、どうなるのかな?
マサシ 生命の半ばに、解脱か済度か、択ぶ事になる。
マナミ 命を望まず、解脱に臨むと、どうなるのかな?
マサシ 他と関らない、同じ有り様を、眺め続けるよ。
マナミ 命を望んで、済度に臨むと、どうなるのかな?
マサシ 他と係わって、違う在り方に、挑み続けるよ。
マナミ そうすると、衆生にしても、羅漢にしても、
眺めるだけか、挑んでいくか、選択するのね。
マサシ そうだけど、正確に選べるのは、羅漢だけさ。
マナミ ……………………!!
CASE 衆生 の先に 羅漢
サトミ 命を忘れる、衆生って、どういうものかな?
メグミ 衆生とは、生が果てても、命を果さない者よ。
サトミ 生が終わり、命を避けると、どうなるのかな?
メグミ 命を授からず、霊に埋まれて、業が積めない。
サトミ 生が終わり、命を求めると、どうなるのかな?
メグミ 命を与かって、人に生まれて、業が積めるよ。
サトミ 命を覚える、羅漢って、どういうものかな?
メグミ 羅漢とは、命を果しても、生が果てない者よ。
サトミ 生の半ばに、命を越えると、どうなるのかな?
メグミ 命を授からず、天に埋まれて、徳が積めない。
サトミ 生の半ばに、命を求めると、どうなるのかな?
メグミ 命を与かって、地に生まれて、徳が積めるよ。
サトミ 衆生の段は、業を積むため、人に生れるし、
羅漢の階では、徳を積むため、地に産れるの?
メグミ 体が欠ける、霊の世界では、業が積み難いし、
悩みが乏しい、天の世界では、徳が積み難い。
サトミ なるほどね、衆生にしても、羅漢にしても、
続けないのか、続けるのかを、選択するのね。
メグミ そうだけど、自由に選べるのは、羅漢だけよ。
サトミ ……………………!!
CASE 衆生 という 羅漢
サトシ 欲に溺れる、衆生って、どういうものかな?
アツシ 衆生とは、良くに流され、良くを望むものだ。
サトシ 欲に流され、生が果てると、どうなるのかな?
アツシ 老いると、良くを満たせずに、飽くに近づく。
サトシ 老いながら、苦を味わうと、どうなるのかな?
アツシ 良くに隠れる、飽くを認めて、解く道に進む。
サトシ 欲を修める、羅漢って、どういうものかな?
アツシ 羅漢とは、良くを御して、良くに臨むものだ。
サトシ 欲を御して、命を果たすと、どうなるのかな?
アツシ 若いまま、良くに踊らされず、解くに近づく。
サトシ 生きながら、徳を味わうと、どうなるのかな?
アツシ 良くに隠れる、解くを認めて、説く道に進む。
サトシ 衆生は、老いなければ、飽くを認めないけど、
羅漢なら、老いなくても、飽くを見とめるの?
アツシ 生きながら、飽くを覚れば、解く道に至るし、
活きながらに、解くを悟れば、説く道に到る。
サトシ なるほどね、本当の意味で、道を説けるのは、
生きながらに、良くを修めた、羅漢だけだね。
アツシ こうして、道を説けるのも、生きている故だ。
サトシ ……………………!!
CASE 羅漢なき衆生 と 衆生なき羅漢
サトミ 衆生と羅漢、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 命を連ねる、衆生って、どういうものかな?
メグミ 衆生とは、煩悩に塗れて、生命を繋ぐものよ。
サトミ 命を遂げる、羅漢って、どういうものかな?
メグミ 羅漢とは、煩悩を越えて、使命を果すものよ。
サトミ 衆生を望み、羅漢に臨まないと、どうなるの?
メグミ 羅漢なき衆生なんて、輪廻に嵌まるだけよ。
サトミ じゃ、生命を繋いでも、使命を果さないの?
メグミ そうよ、使命が閊えると、生命も疲れるのよ。
サトミ 羅漢を望み、衆生に臨まないと、どうなるの?
メグミ 衆生なき羅漢なんて、涅槃に填まるだけよ。
サトミ じゃ、使命を果しても、生命を繋がないの?
メグミ そうよ、生命が絶えると、使命も断たれるよ。
サトミ 衆生だけは、羅漢に倣わず、輪廻に嵌まり、
羅漢ばかりは、衆生を救わず、涅槃に填まる?
メグミ うん、衆生と羅漢、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、羅漢を追い、衆生を負っていくの?
メグミ そうなの、衆生を究め、羅漢を極めていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 宿命 の裏に 天命
マナミ 前世からの命、宿命って、どういうものなの?
マサシ 宿命とは、小さな我から捕える、命のことさ。
マナミ 小さな我から眺めると、どのように見えるの?
マサシ 前生の自分と、今生の自分は、別人格なのさ。
マナミ 小さな我は、今生が苦しいと、どう考えるの?
マサシ 前世の自分が、悪い事をしたと、考えるのさ。
マナミ 天界からの命、天命って、どういうものなの?
マサシ 天命とは、大きな我から捉える、命のことさ。
マナミ 大きな我から眺めると、どのように見えるの?
マサシ 前生の自分と、今生の自分は、同人格なのさ。
マナミ 大きな我は、今生が苦しいと、どう考えるの?
マサシ 今生の自分が、求めて選んだと、考えるのさ。
マナミ 宿命と天命では、どちらの見方が、正しいの?
マサシ 自らの責任にすれば、小さな我に近づいて、
自らの責任にしないと、大きな我に近づくよ。
マナミ 大きくなることを望めば、前世も思い出すの?
マサシ そうさ、選んだものに、相応しい自分になる。
マナミ 前世を知らないのも、選んだからだったのね。
マサシ うん、そう考えるほど、色々と思い出せるよ。
マナミ ……………………!!