第四章 第二五話 対話編
CASE 本有 の裏に 中有
マナミ 生と死の間、本有って、どういうものなの?
マサシ 本有とは、我が身が有る、中間の状態なのさ。
マナミ 身を持って、世界を見ると、どう見えるの?
マサシ 体が有るから、境が有る様に、見えているよ。
マナミ 内と外に別れて、我が外に、他が現われるの?
マサシ そうさ、間接的に、他の中に、自らが現れる。
マナミ 死と生の間、中有って、どういうものなの?
マサシ 中有とは、我が身が無い、中間の状態なのさ。
マナミ 身を持たず、世界を見ると、どう見えるの?
マサシ 体が無いから、境が無い様に、見えているよ。
マナミ 内と外に別れず、世の全て、自らに見えるの?
マサシ そうさ、直接的に、世の中に、自らが現れる。
マナミ 体が有る時は、間接的に、悟るしかないけど、
体が無い時って、直接的に、悟れるときなの?
マサシ その通り、すべてが自分だと、悟るためには、
体を抜けた、死の瞬間こそ、絶好の機会だよ。
マナミ う~ん、でも、悟らない人が、居るんでしょ。
どうして、こんな絶好の機会に、悟らないの?
マサシ 魂は、生前と同じで、他の所為にしたいのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 本有 の先に 中有
サトミ 肉体が有る、本有って、どういうものかな?
メグミ 本有とは、生まれてから、死ぬまでの間だよ。
サトミ 世に生まれ、体を有すると、どうなるのかな?
メグミ 我が強くなり、内と外に別れ、業が隠れるよ。
サトミ 生きるとき、積んでしまう、業が秘されるの?
メグミ そうよ、我を他に映して、他の所為にするの。
サトミ 肉体が無い、中有って、どういうものかな?
メグミ 中有とは、死ぬときから、生れるまでの間よ。
サトミ 世を去って、体を無くすと、どうなるのかな?
メグミ 我が弱くなり、内と外が消え、業が表れるよ。
サトミ 死ぬときに、隠されてきた、業が現われるの?
メグミ そうよ、他を我に移して、我が所為になるの。
サトミ 体が有ると、他の所為に押し付けられても、
体が消えると、我が所為に引き寄せられるの?
メグミ そうよ、死に際して、今まで生きている間に、
積んで来た、すべて業を、見せ付けられるよ。
サトミ 死後に、走馬灯の様に、見せ付けられても、
頑として、受け容れなかったら、どうなるの?
メグミ うふっ、こうして、また、生まれて来るのよ。
サトミ ……………………
CASE 臨 終 正 念
サトミ たとえ、生きている時に、念じていなくても、
死の際に、仏様を念じれば、浄土に行けるの。
マナミ 確かに、その通りだけど、念じられないの。
わたしは、誰よりも偉いと、感じちゃうから。
サトミ あたしでも、そこまでは、傲慢じゃないわよ。
マナミ ううん、死に際して、魂が体から抜け出すと、
封じ込めた深い意識が、湧き上がって来るの。
サトミ あたかも、夢の中で、好き勝手しちゃう様に、
身体の制約が無くなり、意識が大きくなるの?
マナミ うん、創造主かのように、自分が思えるの。
サトミ 今まで、悪い世界を、創造してしまったけど、
今度こそ、良い世界を、創造しようと想うの?
マナミ うん、仏様まで、自分の創造の一部になるの。
そんな意識の中で、仏様を念じられると思う?
サトミ う~ん、確かに、それだと、無理っぽいかな。
マナミ うん、だから、生きている時から、念じるの。
サトミ そっか、じゃあ、今から、ちゃんと念じるね。
マナミ うん、今度こそは、お願いだから、そうして。
実際は、あなたからの、お願い、なんだけど。
サトミ ……………………
CASE 中有なき本有 と 本有なき中有
サトミ 本有と中有、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 体を有する、本有って、どういうものかな?
メグミ 本有とは、生から死まで、外に映る間なのよ。
サトミ 空を有する、中有って、どういうものかな?
メグミ 中有とは、死から生まで、内に写る間なのよ。
サトミ 本有を望み、中有に臨まないと、どうなるの?
メグミ 中有なき本有なんて、業を積み続けるだけよ。
サトミ じゃ、空を望まないと、業を摘めないのかな?
メグミ そうよ、色を絶たないと、進化を選べないよ。
サトミ 中有を望み、本有に臨まないと、どうなるの?
メグミ 本有なき中有なんて、業を摘み続けるだけよ。
サトミ じゃ、体を望まないと、業を積めないのかな?
メグミ そうよ、身を持たないと、変化を択べないよ。
サトミ 本有だけは、体に捕われて、進み難くなり、
中有ばかりは、空に囚われて、変り難くなる?
メグミ うん、本有と中有、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、中有を透し、本有を徹していくの?
メグミ そうなの、本有を超え、中有を越えていくの。
サトミ ……………………!!