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物語編

第四章 第二六話 対話編

CASE 魔天 の裏に 梵天

 

マナミ ねぇ、マーラ、魔天って、どういうものなの?
マサシ 魔天とは、想像を司る、欲界の入口のことさ。
マナミ 思いのまま、形を作ると、欲界に生まれるの?
マサシ 魔天では、徳を溶いて、欲を適えてくれるよ。
マナミ 徳に臨まず、欲を望むと、魔天に誘われるの?
マサシ うん、魔天が支配する、欲界に縛られるのさ。
マナミ 衆生として、欲の世界を、輪廻し始めるの?
マサシ 欲の世に、利己の形として、生まれ変わるよ。
マナミ じゃ、ブラフマ、梵天は、どういうものなの?
マサシ 梵天とは、創造を司る、色界の入口のことさ。
マナミ 在りのまま、型を創ると、色界に生まれるの?
マサシ 梵天では、欲を解いて、徳を説いてくれるよ。
マナミ 欲を望まず、徳に臨むと、梵天に導かれるの?
マサシ うん、梵天が象徴する、色界に象られるのさ。
マナミ 菩薩として、欲の世界を、済度し始めるの?
マサシ 欲の界に、利他の型として、生まれ落ちるよ。
マナミ 一見、天魔の方が、欲を適えてくれるから、
    良い神様に、見えてしまうのが、難しいよね。
マサシ うん、欲界に生まれた時点で、みんな信者さ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 魔天 の先に 梵天

 

サトミ 欲界の頂点、魔天って、どういうものかな?
メグミ 魔天とは、想像を持って、欲界を統べる神よ。
サトミ 魔天が、良くを適えるのは、どうしてなの?
メグミ 欲により、衆生を治めようと、考えるからよ。
サトミ 色界の初禅、梵天って、どういうものかな?
メグミ 梵天とは、創造を以って、欲界を授ける神よ。
サトミ 梵天が、解くを教えるのは、どうしてなの?
メグミ 徳により、衆生を救いたいと、考えるからよ。
サトミ 欲の世界に、縛り付けたい、堕天使の陣営と、
    欲の世界から、救い上げたい、創造主の陣営?
メグミ うん、そう考えてもらって、何も問題ないよ。
サトミ う~ん、何かおかしいな、何か隠していない?
メグミ えっ、何がおかしいの、何も隠してないけど。
サトミ だって、悪魔の支配から、救い出したいなら、
    そもそも、欲界や悪魔、創らなければ済むよ。
メグミ それは、悪魔だって、元々は、天使だからで。
サトミ 神に背き、我が治めたいと、考えてしまった?
    ううん、真に修めたいものは、別にあるはず。
メグミ うん、想像力が有る子って、これだから好き。
サトミ ……………………

 


 

CASE 魔天 という 梵天

 

サトシ 欲を進める、魔天って、どういうものかな?
アツシ 魔天とは、良くを適えて、飽くに誘う神だな。
サトシ 魔天は、先に楽を授け、後で苦を与えるの?
アツシ ああ、欲を適える代わり、魂を支配している。
サトシ 魔天が、解脱を邪魔するのは、どうしてなの?
アツシ 魔天自身、それが良いことだと、思うからだ。
サトシ 法を勧める、梵天って、どういうものかな?
アツシ 梵天とは、説くを勧めて、解くに導く神だな。
サトシ 梵天は、先に苦を与え、後で空を授けるの?
アツシ ああ、業を教える代わり、魂を解放している。
サトシ 梵天が、悪魔も創造するのは、どうしてなの?
アツシ 梵天自身、それが良いことだと、想うからだ。
サトシ 魔天と梵天、正反対のことを、司るけれど、
    どちらも、それを良いことだと、考えている。
アツシ その通りだ、この欲の相克を、突き詰めると、
    欲界に隠れた、仕掛けが解けて、解脱に至る。
サトシ わざわざ、邪魔する存在を、創造する意味か。
    う~ん、良く解らないよ、君が僕に教えてよ。
アツシ いや、絶対に教えない、邪魔したいくらいだ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 梵天なき魔天 と 魔天なき梵天

 

サトミ 魔天と梵天、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲界を想う、魔天って、どういうものかな?
メグミ 魔天とは、慢心を持って、欲界を治める神よ。
サトミ 欲界を創る、梵天って、どういうものかな?
メグミ 梵天とは、得心を以って、欲界を慈しむ神よ。
サトミ 魔天を望み、梵天に臨まないと、どうなるの?
メグミ 梵天なき魔天なんて、唯の統治に過ぎないよ。
サトミ じゃ、これで善いって、慢心してしまうの?
メグミ そうよ、欲に塗れるから、地に堕ちていくよ。
サトミ 梵天を望み、魔天に臨まないと、どうなるの?
メグミ 魔天なき梵天なんて、只の放置に過ぎないよ。
サトミ じゃ、すべて良いって、得心してしまうの?
メグミ そうよ、欲を越えるから、地に関わらないよ。
サトミ 魔天だけでは、欲を適えて、人が育たないし、
    梵天ばかりでは、欲を越えて、人が見えない。
メグミ うん、魔天と梵天、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、梵天を透し、魔天を徹していくの?
メグミ そうなの、魔天を超え、梵天を越えていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 臨 終 正 念

 

サトミ たとえ、生きている時に、念じていなくても、
    死の際に、仏様を念じれば、浄土に行けるの。
マナミ 確かに、その通りだけど、念じられないの。
    わたしは、誰よりも偉いと、感じちゃうから。
サトミ あたしでも、そこまでは、傲慢じゃないわよ。
マナミ ううん、死に際して、魂が体から抜け出すと、
    封じ込めた深い意識が、湧き上がって来るの。
サトミ あたかも、夢の中で、好き勝手しちゃう様に、
    身体の制約が無くなり、意識が大きくなるの?
マナミ うん、創造主かのように、自分が思えるの。
サトミ 今まで、悪い世界を、創造してしまったけど、
    今度こそ、良い世界を、創造しようと想うの?
マナミ うん、仏様まで、自分の創造の一部になるの。
    そんな意識の中で、仏様を念じられると思う?
サトミ う~ん、確かに、それだと、無理っぽいかな。
マナミ うん、だから、生きている時から、念じるの。
サトミ そっか、じゃあ、今から、ちゃんと念じるね。
マナミ うん、今度こそは、お願いだから、そうして。
    実際は、あなたからの、お願い、なんだけど。
サトミ ……………………

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