物語編
第四章 第三一話 物語編
第四章 勝利 と 敗北
第三一話 上位を究める と 下位を極める
「第五、君らは、決して、酒を飲んではならぬ。
我が幻に酩う者は、必ずや、自らの夢に酊わされ、
人々の幻を守る者は、必ずや、自身の夢も護られる。」
すると、別の者が、立ち上がり、静かに尋ねた。
〈我が師よ、少しの酒は、薬になると捉えられる。
これに関して、どのように、考えれば良いだろうか。〉
「神の幻を、守りたいなら、薬物を断ちなさい。
断てない者が、絶たずに済む、根拠を説くだろう。
神の世を垣間見るため、薬を打とうとも構わないと。」
〈師よ、神に酔い痴れる道は、どう考えるのか。〉
「自らは、仏の道を進んで、妄信から離れなさい。
其れ故、仏の道を選んでない、他の者に委ねなさい。」
〈師よ、病を薬で散らす道は、どう考えるのか。〉
「自らは、神の道を勧めて、病気から学びなさい。
其れ故、神の道を択んでない、他の者に任せなさい。」
〈不飲酒の戒、一斉に守る事は、出来ないのか。〉
「出来ない、選ばれない民の上に、仏の道に臨む。
択ばれた事を、有り難く受け止めて、神の道を望め。」