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物語編

第四章 第三二話 物語編

第四章    自慢   と   怠慢
第三二話 良くを充たす と 飽くを満たす

 

集まった人々は、予想を越えて、優秀であった。
彼らに対して、半端な教えを、説かねばならない、
完全なる教えを、解き切れない、擬しさに包まれる。

 

如何しても、顕教だけ説いても、不自然になる。
其の裏にある、密教を解かないと、不完全であり、
裏を隠して、歪んだ教えを説く、我が身が許せない。

 

密教まで解き明かせば、美しい道理が表れるが、
難しい教えを解くと、誤解する者が現れてしまう。
法の曲解を避けるには、智慧ある者にしか解けない。

 

我が為に、神の法が遣われるのは、性質が悪い。
我を守るため、神を騙られては、手に負えないが、
密教を解くなら、その危険が、大いに現れてしまう。

 

密教を解いても良いのは、知恵を司る菩薩だけ。
智慧なき者に密教を解けば、世界は滅びてしまう。
我に歪められた神の教えほど、恐ろしい教えはない。

 

顕教だけを説いても、美しくないという理由で、
天の教えである密教を、地上に解くべきではない。
それは、最早、私の欲で、汚された教えに過ぎない。

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