物語編
第四章 第三十話 問答編
マサシ 人間(ニンゲン)は、どういうものですか?
アキラ 人間は、欲界における、第三層であり、
梵語では、マヌシャとも、呼ばれるもの。
人間道とは、貪欲の味著を司る世界であり、
自尊と卑屈を繰り返す、比較の仕掛けである。
マサシ 自尊(ジソン)とは、どういうものですか?
アキラ 自尊とは、比較に生じる、味著であり、
自他を差別して、優位を楽しむ心である。
自尊を楽しむほど、比較に囚われてしまい、
更に、比較を望んで、人間の道に臨んでいく。
マサシ 卑屈(ヒクツ)とは、どういうものですか?
アキラ 卑屈とは、比較に生じる、過患であり、
自他を差別して、劣位に苦しむ心である。
卑屈に苦しむほど、比較に捕われなくなり、
後に、比較に厭いて、人間の道に空いていく。