第四章 第二八話 対話編
CASE 自慰 の裏に 自傷
マナミ ティリヤンチュ、畜生は、どういうものなの?
マサシ 畜生は、欲界の第五層、快楽の世界のことさ。
マナミ 快楽の良い所、自慰って、どういうものなの?
マサシ 自慰とは、自ら慰めて、快楽を楽しむことさ。
マナミ 適当な、快楽を望むから、自ずから楽しむの?
マサシ うん、自慰行為に浸り切り、楽しんでしまう。
マナミ 快楽を、楽しんでいると、捕われてしまうの?
マサシ そうだよ、快楽を望むから、畜生に臨むのさ。
マナミ 快楽の悪い処、自傷って、どういうものなの?
マサシ 自傷とは、自ら傷つけ、快楽に苦しむことさ。
マナミ 過剰な、快楽を望むから、自ずから苦しむの?
マサシ うん、自傷行為に振り切り、苦しんでしまう。
マナミ 快楽に、苦しんでいると、囚われなくなるの?
マサシ そうだよ、快楽に厭くから、畜生が空くのさ。
マナミ 自慰を、楽しんだだけ、自傷に苦しんだら、
自ずから、快楽の世界を、乗り越えられるの?
マサシ そうさ、畜生で学ぶことを、学び終えるのさ。
マナミ わたしは、今が楽しいし、どうでも良いの。
マサシ そんなこと、言っていると、畜生に嵌まるよ。
マナミ ……………………
CASE 自慰 の先に 自傷
サトミ 自ら慰める、自慰って、どういうものかな?
メグミ 自慰とは、愚痴を持って、快を楽しむことよ。
サトミ 快に溺れて、慰めを得ると、どうなるのかな?
メグミ 苦を忘れ、我が喜ぶから、愚痴が強くなるよ。
サトミ 自ら傷める、自傷って、どういうものかな?
メグミ 自傷とは、愚痴を以って、快に苦しむことよ。
サトミ 快が転じて、傷みを得ると、どうなるのかな?
メグミ 楽を忘れ、我が憂うから、愚痴が弱くなるよ。
サトミ つまり、我が楽しめるなら、快が強くなり、
強すぎて、我を苦しめるなら、快が弱くなる?
メグミ そうよ、器に収まるまでは、楽しめるけど、
多すぎて、器を溢れてくると、苦しめられる。
サトミ じゃあ、自ら慰める迷いで、楽しんでいると、
同じだけ、自ら傷める迷いで、苦しむわけか。
メグミ そうよ、最初から最後まで、畜生の世界を、
まるごと、経験したとき、この仕組が解るよ。
サトミ そっか、すべて認めないと、悟れないわけね。
惚けたり、呆けていたり、していたらダメか。
メグミ うふっ、それが得意だから、畜生に生れるの。
サトミ ……………………!!
CASE 自慰 という 自傷
サトシ 快の良い面、自慰って、どういうものかな?
アツシ 自慰とは、良いと思って、弄び慰めることだ。
サトシ 実際に、徒らに慰めて、良いと想えるのかな?
アツシ 思えない、それゆえ、少しずつ我が強くなる。
サトシ じゃあ、我が強いほど、望む快も強くなるの?
アツシ そうだな、周りを使って、我を守ろうとする。
サトシ 快の悪い面、自傷って、どういうものかな?
アツシ 自傷とは、良いと想って、玩び傷めることだ。
サトシ 実際に、徒らに傷めて、良いと思えるのかな?
アツシ 想えない、それゆえ、少しずつ我が弱くなる。
サトシ じゃあ、我が弱いほど、臨む苦も弱くなるの?
アツシ そうだな、周りに遣われ、我を壊そうとする。
サトシ つまり、愛玩するほど、自慰と自傷が生じて、
どんどん、畜生の世界に、巻き込まれるのか。
アツシ そうだ、望むままに弄んで、快楽を楽しむが、
そのうち、臨むままに玩ばれ、快楽に苦しむ。
サトシ そっか、喪失感を抱き、苦しみたくなければ、
それこそ、恍惚感を擁き、楽しまないことか。
アツシ そうだ、それが解れば、畜生に魅入られない。
サトシ ……………………!!
CASE 自傷なき自慰 と 自慰なき自傷
サトミ 自慰と自傷、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 畜生の入口、自慰って、どういうものかな?
メグミ 自慰とは、愚痴を持って、自ら慰めることよ。
サトミ 畜生の出口、自傷って、どういうものかな?
メグミ 自傷とは、愚痴を以って、自ら傷めることよ。
サトミ 自慰を望み、自傷に臨まないと、どうなるの?
メグミ 自傷なき自慰なんて、道が塞がるだけだよ。
サトミ じゃ、自ら傷めないと、業を摘めないのかな?
メグミ そうよ、業が詰まるから、誰も通れなくなる。
サトミ 自傷を望み、自慰に臨まないと、どうなるの?
メグミ 自慰なき自傷なんて、道が廃れるだけだよ。
サトミ じゃ、自ら慰めないと、業を積めないのかな?
メグミ そうよ、業が消えるから、誰も通らなくなる。
サトミ 自慰だけでは、積み過ぎて、飽いてしまい、
自傷ばかりでは、摘み過ぎて、空いてしまう。
メグミ うん、自慰と自傷、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、自傷を究め、自慰を極めていくの?
メグミ そうなの、自慰を超え、自傷を越えていくの。
サトミ ……………………!!