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物語編

第四章 第三二話 対話編

CASE 自慢 の裏に 怠慢

 

マナミ ねぇ、デーヴァ、天人は、どういうものなの?
マサシ 天人は、欲界の最上層、慢心の世界のことさ。
マナミ 慢心の良い所、自慢って、どういうものなの?
マサシ 自慢とは、慢が被って、慢心を楽しむことさ。
マナミ 慢じて、安心を得るから、自ずから楽しむの?
マサシ うん、安心感に浸り切って、楽しんでしまう。
マナミ 慢心を、楽しんでいると、捕われてしまうの?
マサシ そうだよ、慢心を望むから、天人に臨むのさ。
マナミ 慢心の悪い処、怠慢って、どういうものなの?
マサシ 怠慢とは、慢が覆って、慢心に苦しむことさ。
マナミ 漫じて、不安を得るから、自ずから苦しむの?
マサシ うん、不安感に振り切って、苦しんでしまう。
マナミ 慢心に、苦しんでいると、囚われなくなるの?
マサシ そうだよ、慢心に厭くから、天人が空くのさ。
マナミ 自慢を、楽しんだだけ、怠慢に苦しんだら、
    自ずから、慢心の世界を、乗り越えられるの?
マサシ そうさ、天人で学ぶことを、学び終えるのさ。
マナミ わたしは、慢心しないし、学ばなくて良いの。
マサシ そんなこと、言っていると、天人に嵌まるよ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 自慢 の先に 怠慢

 

サトミ 自ら慢ずる、自慢って、どういうものかな?
メグミ 自慢とは、愚痴を持って、慢を楽しむことよ。
サトミ 楽に酔って、良いと思うと、どうなるのかな?
メグミ 苦を忘れ、我が喜ぶから、愚痴が強くなるよ。
サトミ 怠り慢ずる、怠慢って、どういうものかな?
メグミ 怠慢とは、愚痴を以って、慢に苦しむことよ。
サトミ 楽に酔って、悪いと想うと、どうなるのかな?
メグミ 楽を忘れ、我が憂うから、愚痴が弱くなるよ。
サトミ つまり、我が楽しめるなら、慢が強くなり、
    強すぎて、我を苦しめるなら、慢が弱くなる?
メグミ そうよ、器に収まるまでは、楽しめるけど、
    多すぎて、器を溢れてくると、苦しめられる。
サトミ じゃあ、苦を忘れる迷いで、楽しんでいると、
    同じだけ、楽を忘れる迷いで、苦しむわけか。
メグミ そうよ、最初から最後まで、天人の世界を、
    まるごと、経験したとき、この仕組が解るよ。
サトミ そっか、すべて認めないと、悟れないわけね。
    酔ったり、寄っていたり、していたらダメか。
メグミ うふっ、それが得意だから、天人に生れるの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 自慢 という 怠慢

 

サトシ 慢の良い面、自慢って、どういうものかな?
アツシ 自慢とは、良いと思って、善と認めることだ。
サトシ 実際に、善いと認めて、良いと想えるのかな?
アツシ 思えない、それゆえ、少しずつ我が強くなる。
サトシ じゃあ、絶対を信じて、陶酔が深くなるの?
アツシ そうだな、無智を被って、我を守ろうとする。
サトシ 慢の悪い面、怠慢って、どういうものかな?
アツシ 怠慢とは、良いと想って、悪と認めることだ。
サトシ 実際に、悪いと認めて、良いと思えるのかな?
アツシ 想えない、それゆえ、少しずつ我が弱くなる。
サトシ じゃあ、絶対を疑って、陶酔が覚めてくるの?
アツシ そうだな、無智を祓って、我を壊そうとする。
サトシ つまり、慢心するほど、自慢と怠慢が生じて、
    どんどん、天人の世界に、巻き込まれるのか。
アツシ そうだ、我を善人と捕えて、昇天を楽しむが、
    そのうち、我を悪人と捉えて、堕天に苦しむ。
サトシ そっか、倦怠感を抱き、苦しみたくなければ、
    それこそ、陶酔感を擁き、楽しまないことか。
アツシ そうだ、それが解れば、天人に魅入られない。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 怠慢なき自慢 と 自慢なき怠慢

 

サトミ 自慢と怠慢、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 天人の入口、自慢って、どういうものかな?
メグミ 自慢とは、愚痴を持って、慢に溺れることよ。
サトミ 天人の出口、怠慢って、どういうものかな?
メグミ 怠慢とは、愚痴を以って、慢に疲れることよ。
サトミ 自慢を望み、怠慢に臨まないと、どうなるの?
メグミ 怠慢なき自慢なんて、道が塞がるだけだよ。
サトミ じゃ、慢に疲れないと、業を摘めないのかな?
メグミ そうよ、業が詰まるから、誰も通れなくなる。
サトミ 怠慢を望み、自慢に臨まないと、どうなるの?
メグミ 自慢なき怠慢なんて、道が廃れるだけだよ。
サトミ じゃ、慢に溺れないと、業を積めないのかな?
メグミ そうよ、業が消えるから、誰も通れなくなる。
サトミ 自慢だけでは、積み過ぎて、飽いてしまい、
    怠慢ばかりでは、摘み過ぎて、空いてしまう。
メグミ うん、自慢と怠慢、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、怠慢を究め、自慢を極めていくの?
メグミ そうなの、自慢を超え、怠慢を越えていくの。
サトミ ……………………!!

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