物語編
第四話 第三三話 物語編
第四章 病気 と 正気
第三三話 葛藤を抱える と 葛藤を越える
私は、大学を開いて、仏陀の教えを説き広めた。
自ずと、縁ある者達が、我が所まで集まり初めて、
心から望む者は、住み込ませて、弟子として育てた。
私が説いた、善の教えは、人生の苦悩を超える、
絶対的な、至善の道として、世の人に伝えられた。
人々は、与え合うようになり、穏かになって行った。
その一方、同じ道を歩んでいる、善は認めるが、
裏の道を進んでいる、悪を忌み嫌うようになった。
絶対の善性を教え込む、これが、顕教の限界だろう。
私が説いた、愛の教えは、肉体の愛欲を越える、
精神的な、純愛の道として、世の人に伝えられた。
人々は、愛し合うようになり、優しくなって行った。
その一方、同じ道を歩んでいる、友は愛するが、
外の道を進んでいる、友の敵を憎むようになった。
選民の思想が入り込む、これが、旧約の境界だろう。
いずれ、破綻が訪れることは、解かっているが、
深淵の手前までは、顕教で進まなければならない。
破綻を恐れ、近づかなければ、深淵は超えられない。