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物語編

第四章 第三四話 物語編

第四章    三身   と   三界
第三四話 小さな容れ者 と 大きな容れ物

 

表の方ばかり説いて、裏の法まで解いていない。
選ばれた者が生まれて、択ばれない者が埋まれる。
私は、完全でない教えを、説き続けるしかなかった。

 

偶然か、必然か、私を称える、役を選んだ者は、
その業ゆえに、私が授けた、戒を守るようになり、
その果報として、明朗になり、豊かになっていった。

 

運命か、宿命か、私を貶める、役を択んだ者は、
その業ゆえに、私が与えた、戒を破るようになり、
その果報として、陰鬱になり、貧しくなっていった。

 

貧しい者は、豊かな者を、妬むようになったが、
あろうことか、富める者は、戒を破る方が悪いと、
病める者を蔑み、愛を忘れて、慢に陥ってしまった。

 

このままでは、遅かれ早かれ、裏が表に現れる、
善と悪が引っ繰り返る、終末の日が訪れるだろう。
目の前の繁栄は、多大な犠牲の上に成り立っている。

 

にもかかわらず、私の懸念を余所に置きながら、
人々の精進によって、世の中は改善されて行った。
寧ろ、私が訪れる前より、遥かに豊かになっていた。

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