第四章 第三五話 対話編
CASE 体 の裏に 空
マナミ カラダである、体って、どういうものなの?
マサシ 体とは、業に塗れている、我が器のことだよ。
マナミ それなら、体を持つものは、どんなものなの?
マサシ 欲を持って、業を重ねる、欲界の衆生なのさ。
マナミ 衆生の身体は、業が詰って、中身があるの?
マサシ そうさ、善い業を積めば、美しい体になり、
逆に、悪い業を積めば、美しくない体になる。
マナミ カラなるもの、空って、どういうものなの?
マサシ 空とは、業を越えている、我が器のことだよ。
マナミ それなら、空を持つものは、どんなものなの?
マサシ 徳を以って、法を演じる、色界の菩薩なのさ。
マナミ 菩薩の身体は、業が消えて、中空であるの?
マサシ そうさ、徳を重ねるほど、大きな空になり、
逆に、徳を積まないと、大きくない空になる。
マナミ つまり、色界の菩薩方を、観想するときは、
その身が、空であると、見た方が良いわけね。
マサシ そうさ、法を演じるため、型を纏っているよ。
マナミ その型に、美醜を言うのは、見当違いだね。
マサシ 菩薩の空に、我が業を映して、見ているのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 体 の先に 空
サトミ 中が業である、体って、どういうものかな?
メグミ 体とは、業が重なり、形が変わる器のことよ。
サトミ 衆生には、業を容れる、器が必要になるの?
メグミ そうよ、欲界の身体とは、業を示す形なのよ。
サトミ 中が空である、空って、どういうものかな?
メグミ 空とは、徳が重なり、型が広がる器のことよ。
サトミ 菩薩には、法を現わす、器が必要になるの?
メグミ そうよ、色界の身体とは、法を示す型なのよ。
サトミ 菩薩って、色界に居る時は、法を説くけど、
済度のため、欲界に降りると、業を解くよね?
メグミ そうよ、だから、欲界で演じるに相応しい、
業を負って、体を持って、生まれて来るのよ。
サトミ そして、衆生として生きて、業を越えて見せ、
欲界の中で、色界の法を、衆生に説き示すの?
メグミ うん、わざわざ、業を纏って、欲界に降りて、
業を越えて見せて、衆生の良き手本になるの。
サトミ 済度のために、業を纏って、乗り越えた分は、
空を悟った、菩薩の徳になり、智になる訳ね。
メグミ こうして、少しずつ、大きな役を演じるのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 型 と 体 と 形
マナミ ねぇ、ルーパ、体って、どういうものなの?
マサシ 体とは、各界に生まれる、存在の器のことさ。
マナミ じゃ、ルーパ、型って、どういうものなの?
マサシ 型とは、色界に生まれる、菩薩の体のことさ。
マナミ じゃ、ルーパ、形って、どういうものなの?
マサシ 形とは、欲界に生まれる、衆生の体のことさ。
マナミ すなわち、同じ言葉を、細かく分けているの?
マサシ 色界の体は、形状が有り、物質は無いけど、
欲界の体には、形状も有り、物質も有るのさ。
マナミ じゃあ、物質の有無の違いは、何の違いなの?
マサシ 纏ったら、元には戻れない、業の有無なのさ。
マナミ 色界に於て、計画を示すのが、型の体であり、
欲界に於いて、現実に示すのが、形の体なの?
マサシ そうさ、欲が有るから、計画が外れていく。
外れた分は業となり、最終的に修正されるよ。
マナミ 生れた本分に従う限り、業を積み難いのね。
マサシ うん、心も晴れているし、体も健やかになる。
マナミ そんな時、業を積まず、徳を積んでいるの?
マサシ そうさ、業を越えて、体が空に変っていくよ。
マナミ ……………………!!
CASE 空のない体 と 体のない空
サトミ 体と空、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 身が有ること、体って、どういうものかな?
メグミ 体とは、業が積み重なる、身の器のことだよ。
サトミ 身が無いこと、空って、どういうものかな?
メグミ 空とは、業が消え失せた、空の器のことだよ。
サトミ 体を重んじて、空を軽んじると、どうなるの?
メグミ 空のない体なんて、病んで逝くばかりだよ。
サトミ じゃ、空が無ければ、業が消えなくなるの?
メグミ そうよ、業が重なると、良く映らなくなるよ。
サトミ 空を重んじて、体を軽んじると、どうなるの?
メグミ 体のない空なんて、止んで行くばかりだよ。
サトミ じゃ、体が無ければ、業を積めなくなるの?
メグミ そうよ、業が失せると、何も移らなくなるよ。
サトミ 体だけでは、業が詰んで、病んで逝くだけ。
空ばかりでは、業を摘んで、止んで行くだけ。
メグミ そうよ、体と空、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、空を観じながら、体を感じていくの?
メグミ うふっ、体を負いながら、空を追っていくの。
サトミ ……………………!!