第四章 第三九話 対話編
CASE 勧戒 の裏に 禁戒
マナミ ねぇ、ニヤマ、勧戒は、どういうものなの?
マサシ 勧戒とは、善行を勧めて、善業を積むことさ。
マナミ 勧戒を守り、善業を積むと、どうなるのかな?
マサシ 光が強くなり、何であろうと、強く見えるよ。
マナミ じゃ、ヤマ、禁戒って、どういうものなの?
マサシ 禁戒とは、悪行を禁じて、悪業を摘むことさ。
マナミ 禁戒を破り、悪業を積むと、どうなるのかな?
マサシ 闇が深くなり、何であろうと、弱く見えるよ。
マナミ 善業が寡く、悪業が多いと、どう見えるの?
マサシ 楽しいことも、苦しいことも、弱く見えるよ。
マナミ 何が善いか、何が悪いのか、解り難くなるの?
マサシ ますます、悪業を積んで、曖昧に見ていくよ。
マナミ 善業が多く、悪業が寡いと、どう見えるの?
マサシ 楽しいことも、苦しいことも、強く見えるよ。
マナミ 何が善いか、何が悪いのか、解り易くなるの?
マサシ ますます、善業を積んで、明確に見ていくよ。
マナミ つまり、善業を積まないと、曖昧に見るから、
なかなか、悪業を摘めないと、そういうこと?
マサシ そうさ、だから、最初には、善業を積むのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 勧戒 の先に 禁戒
サトミ 善を勧める、勧戒って、どういうものかな?
メグミ 勧戒とは、善業を積んで、光を増やすことよ。
サトミ 勧戒を守り、光を増やすと、どうなるのかな?
メグミ 念が強くなり、何であろうと、直に現れるよ。
サトミ 悪を禁じる、禁戒って、どういうものかな?
メグミ 禁戒とは、悪業を摘んで、闇を減らすことよ。
サトミ 禁戒を破り、闇を殖やすと、どうなるのかな?
メグミ 念が遮られて、何であろうと、逆に現れるよ。
サトミ 善業が寡く、悪業が多いと、どう現れるの?
メグミ 楽しいことも、苦しいことも、逆に見えるよ。
サトミ 何が善いか、何が悪いのか、認め難くなるの?
メグミ ますます、悪業を積んで、逆さに現われるよ。
サトミ 善業が多く、悪業が寡いと、どう見えるの?
メグミ 楽しいことも、苦しいことも、素に見えるよ。
サトミ 何が善いか、何が悪いのか、認め易くなるの?
メグミ ますます、善業を積んで、正しく洗われるよ。
サトミ つまり、悪業を摘まないと、真逆に見るから、
なかなか、功徳を積めないと、そういうこと?
メグミ そうよ、だから、最終的に、悪業を摘むのね。
サトミ ……………………!!
CASE 勧戒 という 禁戒
サトシ 業を勧める、勧戒って、どういうものかな?
アツシ 勧戒とは、業を偏らせて、欲を誘うことだな。
サトシ 業を禁じる、禁戒って、どういうものかな?
アツシ 禁戒とは、業を均らせて、徳に導くことだな。
サトシ う~ん、良く解らない、どういうことかな?
アツシ 善と悪が、釣り合うとき、徳に生まれ変わる。
偏らせたり、均したりして、徳に導けば良い。
サトシ 善業が寡くて、悪業が多いと、どうするの?
アツシ 善業を積み、悪業を摘めば、業が徳に変わる。
サトシ 善業が多くて、悪業が寡いと、どうするの?
アツシ 善業を摘み、悪業を積めば、業が徳に換わる。
サトシ う~ん、前者は解るけど、後者が分からない。
アツシ 悪の業に偏る、人間の戒が、前者であって、
善の業に偏った、天人の戒が、後者だからな。
サトシ 善に偏るなら、偏らせて置けば、良くない?
アツシ いや、善が過ぎたれば、悪に堕ちていくから、
戒めを、人界に説くよう、天界にも解くのさ。
サトシ ねぇねぇ、その天界の戒を、僕にも教えてよ。
アツシ ダメだ、人界と天界を別ける、この戒は重い。
サトシ ……………………
CASE 禁戒なき勧戒 と 勧戒なき禁戒
サトミ 勧戒と禁戒、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 勧める戒め、勧戒って、どういうものかな?
メグミ 勧戒とは、退きたい行を、進める戒のことよ。
サトミ 禁じる戒め、禁戒って、どういうものかな?
メグミ 禁戒とは、進めたい行を、退ける戒のことよ。
サトミ 勧戒を望み、禁戒に臨まないと、どうなるの?
メグミ 禁戒なき勧戒なんて、唯の勧誘に過ぎないよ。
サトミ じゃ、業を勧めるだけ、行を禁じないのかな?
メグミ そうよ、人を集めるため、人に阿てしまうよ。
サトミ 禁戒を望み、勧戒に臨まないと、どうなるの?
メグミ 勧戒なき禁戒なんて、只の拘禁に過ぎないよ。
サトミ じゃ、業を禁じるだけ、行を勧めないのかな?
メグミ そうよ、人が嫌がるため、人が進まないのよ。
サトミ 勧戒だけは、阿ねてしまい、誰も育たないし、
禁戒ばかりは、拗ねてしまい、誰も育たない?
メグミ うん、勧戒と禁戒、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、禁戒を究め、禁戒を極めていくの?
メグミ そうなの、勧戒を超え、禁戒を越えていくの。
サトミ ……………………!!