第四章 第四一話 対話編
CASE 限界 の裏に 臨界
マナミ 苦を感じる、限界って、どういうものなの?
マサシ 限界とは、自我の苦悩が、頂点を望むことさ。
マナミ 楽を観じる、臨界って、どういうものなの?
マサシ 臨界とは、自我の苦悩が、変化に臨むことさ。
マナミ 我が苦しみに、耐え続けると、どうなるの?
マサシ 苦しめば、苦しむほど、悪業が落ちているよ。
マナミ 我が苦しみを、嘆き続けると、どうなるの?
マサシ 悪を積み続けて、苦しみが、長く延びるのさ。
マナミ 我が苦しみを、喜び続けると、どうなるの?
マサシ 悪を摘み続けて、苦しみが、早く終わるのさ。
マナミ じゃ、苦しい時に、苦しいと嘆いているより、
楽しいと喜んだ方が、苦しみが早く終わるの?
マサシ うん、終わらない、苦しみなんて無いから、
今しか、味わえない、苦しみを喜ぶと良いよ。
マナミ いかなる、苦しみにも、限界が在ると解れば、
その瞬間に、今までより、苦しく無くなるの?
マサシ そうだよ、限界を認めると、臨界に成るのさ。
マナミ う~ん、苦しい時は、永遠に続きそうだけど。
マサシ もう、限界だって、心底、認めるだけだけど。
マナミ ……………………!!
CASE 限界 の先に 臨界
サトミ 毎日、勉強を、二時間するって、決めたのよ。
メグミ 時間を決め、限界点まで、我慢するよりも、
時間を決めず、臨界点まで、覚悟するべきよ。
サトミ 我慢できる、限界点って、どういうものかな?
メグミ 限界とは、苦しみ故に、辞めたくなることよ。
サトミ 覚悟すべき、臨界点って、どういうものかな?
メグミ 臨界とは、楽しみ故に、止らなくなることよ。
サトミ じゃあ、苦しいと思うと、更に苦しくなるの?
メグミ 二時間を、嫌な経験として、認識しているよ。
サトミ 反対に、楽しいと想うと、更に楽しくなるの?
メグミ 二時間を、好い経験として、認識しているよ。
サトミ どうせ、勉強するなら、嫌々、勉強するより、
勉強そのものを、楽しんだ方が、効果あるの?
メグミ そうよ、勉強そのものが、好きになるから、
幾らでも、学べる様になり、効果が上がるよ。
サトミ そっか、我慢をしながら、勉強していると、
全部、嫌な経験となり、逆効果になるわけね。
メグミ うふっ、逃げ出すよりは、ずっと良いけど、
楽しんでやると良いの、必ず楽しくなるから。
サトミ ……………………!!
CASE 限界 という 臨界
サトシ 僕、試験が終わったら、思い切り遊ぶんだ。
アツシ 君は、我慢しながら、勉強しているわけだな。
サトシ そうだよ、試験のために、我慢しているんだ。
アツシ じゃあ、君は、何のために、試験に臨むんだ?
サトシ 試験に受かったら、良い学歴を得られるんだ。
アツシ じゃあ、君は、何のために、学歴を得るんだ?
サトシ 良い学歴を得れば、良い職業に就けるんだよ。
アツシ じゃあ、君は、何のために、職業に就くんだ?
サトシ 良い職業に就けば、良い財産を築けるんだよ。
アツシ じゃあ、君は、何のために、財産を築くんだ?
サトシ 良い財産を築けば、良い老後を楽しめるんだ。
アツシ 結局、楽しむことを、先延ばしにしただけだ。
サトシ つまり、今、楽しむことを、先延ばしにせず、
勉強なんて、止めてしまって、遊べってこと?
アツシ おいおい、そんなことを、俺が言うと思うか?
サトシ ううん、想わないけど、誰もが考える筈だよ。
アツシ 辛いことから、逃げたところで、追って来る。
サトシ 辛いことを、今、この瞬間に楽しめってこと?
アツシ ああ、覚悟しないと、いつまでも愉しめない。
サトシ ……………………!!
CASE 報酬で育てる と 理解で育てる
サトミ 例えば、お菓子を与えて、お手伝いさせる。
子供達を、報酬で釣る、教育法って在るよね。
メグミ 現代は、そういう教育が、大半じゃないかな。
サトミ これって、子供の教育的に、やっていいこと?
メグミ 動物の躾に、報酬で釣っても、構わないけど、
子供の教育に、報酬で釣るのは、良くないよ。
サトミ 動物は、欲望を介して、誘導しても良いけど、
人間なら、理性で解して、納得すると良いの?
メグミ 餌が無いと、学ばないのは、獣だからこそ。
餌が無くても、楽しめるのは、人だからこそ。
サトミ 確かに、報酬で釣られると、燃え尽きるよね。
メグミ うん、褒めて貰えないと、学ばなくなるし、
外から、強いられると、大嫌いになるだけよ。
サトミ なるほど、報酬のために、我慢していると、
それ自体は、どんどん、嫌いになっていくね。
メグミ 最終的に、大成するのは、好きでやる方なの。
サトミ 確かに、そうだと思うけど、難し過ぎない?
報酬には、名誉や評価も、含まれるんでしょ。
メグミ うふっ、含まれてないって、言って欲しいの?
サトミ ……………………