第四章 第四三話 対話編
CASE 識別 の裏に 直観
マナミ ニャーナ、識別智って、どういうものなの?
マサシ 識別智とは、一を見とめ、二を認めることさ。
マナミ 違う物が、等しい物の中に、現れているの?
マサシ そうさ、似た物を介して、違う物を解すのさ。
マナミ 具体的に、教えて欲しいの、良く解からない。
マサシ 例えば、善と徳は、同じと思われているけど、
善は二元、徳は一元、全く異なるものなのさ。
マナミ パンニャ、直観智って、どういうものなの?
マサシ 直観智とは、二を見とめ、一を認めることさ。
マナミ 同じ物が、異なる物の中に、隠れているの?
マサシ そうさ、違う物に臨んで、同じ物を望むのさ。
マナミ 具体的に、教えて欲しいの、良く解からない。
マサシ 例えば、善と悪は、違うと思われているけど、
どちらも、欲から生まれる、同じものなのさ。
マナミ つまり、良く解るために、二つに分けてから、
囚われず、良く悟るために、一つに合せるの?
マサシ そうさ、分けたままでは、散かってしまうよ。
マナミ 元々、同じものが別れ、互いに克し合うのね。
マサシ そして、剋し合った方が、解り合えてしまう。
マナミ ……………………!!
CASE 識別 の先に 直観
サトミ 良く別ける、識別って、どういうものかな?
メグミ 識別とは、二つに分けて、差を認めることよ。
サトミ つまり、Aと非Aに分けて、非を認めるの?
メグミ うん、AとBに分けても、非は認められない。
サトミ 良く合せる、直観って、どういうものかな?
メグミ 直観とは、一つに合せて、和を認めることよ。
サトミ つまり、Aと非Aを合せて、Aを認めるの?
メグミ うん、AとBを合せても、Aは認められない。
サトミ 識別のために、Aと非Aに分けるべきだし、
直観のためには、Aと非Aを合せるべきなの?
メグミ その通りよ、解るためにも、悟るためにも、
最終的に、AとBに見ず、Aと非Aに見るの。
サトミ じゃあ、何であろうと、表と裏に見ないと、
いつ迄も、良く解からず、良く悟れないわけ?
メグミ 陰陽の関係に見ると、世界は明確になるし、
陰陽の関係に見ないと、世界は曖昧になるよ。
サトミ そっか、思いのまま、世界を歪めて見ると、
汚ごした、代償として、智慧が曇るわけだね。
メグミ 今迄と、同じ自分なのに、世界が変るでしょ。
サトミ ……………………!!
CASE 識別 という 直観
サトシ 二に分ける、識別って、どういうものかな?
アツシ 識別とは、空間を解して、差を認めることだ。
サトシ 左のものが、右のものとは、違うと認めるの?
アツシ 意味を透して、形と形の違い、差異を認める。
サトシ 表層の形が、表層の形とは、異なると見るの?
アツシ 外にある形が、外にある形と、違うと認める。
サトシ 一に合せる、直観って、どういうものかな?
アツシ 直観とは、時間を介して、和を認めることだ。
サトシ 今のものが、過去のものと、同じと認めるの?
アツシ 意識を通して、形と型が同じ、一致を認める。
サトシ 表層の形が、深層なる型と、等しいと見るの?
アツシ 外にある形が、内にある型と、同じと認める。
サトシ 識別は、意味の相を解する、智慧の智であり、
直観とは、意識の層を介する、智慧の慧なの?
アツシ そうだ、意味の相に現れた、形を解せないと、
絶対、意識の層に隠れている、型を悟れない。
サトシ そっか、色々な形を解して、経験しないと、
意識の深層に眠る、普遍の型は悟れないのか。
アツシ そうだ、真相に迫る、不偏の形を修めようか。
サトシ ……………………!!
CASE 直観なき識別 と 識別なき直観
サトミ 識別と直観、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 差を認める、識別って、どういうものかな?
メグミ 識別とは、Aと非Aから、非を認めることよ。
サトミ 和を認める、直観って、どういうものかな?
メグミ 直観とは、Aと非Aから、Aを認めることよ。
サトミ 識別を望み、直観に臨まないと、どうなるの?
メグミ 直観なき識別なんて、唯の差別に過ぎないよ。
サトミ じゃ、差を認めるけど、和を認めないのかな?
メグミ そうよ、相手の中に、Aが在ると認めないよ。
サトミ 直観を望み、識別に臨まないと、どうなるの?
メグミ 識別なき直観なんて、只の鈍感に過ぎないよ。
サトミ じゃ、和を認めるけど、差を認めないのかな?
メグミ そうよ、自分の中に、非が有ると認めないよ。
サトミ 識別だけは、非を認めて、Aを認めないし、
直観ばかりは、Aを認めて、非を認めないの?
メグミ うん、識別と直観、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、直観に依り、識別に拠っていくの?
メグミ そうなの、識別を究め、直観を極めていくの。
サトミ ……………………!!