物語編
第四章 第四九話 物語編
第四章 不淫 と 邪淫
第四九話 性を弄ばない と 性を弁えない
何処からが、嘘であったのか、考えを巡らせた。
当然、男が語った、前世の話は、嘘なのだろうが、
最悪は、男が会った、仏陀の話も、嘘なのだろうか。
男は、笑い疲れたのか、地に、座り込んでいた。
そして、何処から取り出したか、酒を飲みながら、
我が様を、酒の摘まみにして、余韻を楽しんでいた。
〈何処から、幻影なのかを、考えているだろう。
はっきり、言ってやろう、一切が幻影に過ぎない。
貴様は、俺の口車に乗って、人を不幸にしただけだ。〉
〈悔しいか、神が憎いか、我が身を呪いたいか。
さぞかし、俺を殺したくて、仕方が無いと見える。
殺したければ殺せば良い、仏陀に会えなくなるがな。〉
〈そう言えば、忘れていたが、俺が仏陀だった。
仏に会いて、仏を殺せとは、仏の言葉だったよな。
丁度良い、使わせて貰おうか、仏陀を殺してみせい。〉
心を抉り出すのに、男は、恐ろしく長けていた。
これでもかとばかり、男は、我が欲を煽り続けて、
隠し続けていた我が悪、心の闇が引き摺り出された。