物語編
第四章 第四四話 問答編
マサシ 欲(ヨク)とは、どういうものですか?
アキラ 欲とは、上を望んでいる、煩悩のこと。
梵語では、カーマとも、呼んでいるもの。
地から見て、下は閉じて、上は開いている。
それゆえ、地に住む人々は、欲を抱きやすい。
マサシ 慢(マン)とは、どういうものですか?
アキラ 慢とは、下に臨んでいる、煩悩のこと。
梵語では、マーナとも、呼んでいるもの。
天から見て、上は閉じて、下は開いている。
それゆえ、天に住む神々は、慢を抱きやすい。
マサシ 波羅蜜(ハラミツ)とは、何ですか?
アキラ 波羅蜜は、人間に説く、地の法であり、
梵語は、パーラミータと、呼ばれるもの。
地の人は、天を望んで、欲に捕われるため、
地の人には、欲を越える、地上の教えを説く。
マサシ 金剛乗(コンゴウジョウ)は、何ですか?
アキラ 金剛乗は、天人に解く、天の法であり、
梵語は、ヴァジラヤーナとも、呼ぶもの。
天の人は、地に臨んで、慢に囚われるため、
天の人には、慢を超える、天上の教えを解く。
メグミ 欲と慢と徳の関係とは、どういうものですか?
マコト 例えば、空の器があり、水が注がれる。
水を充たす、上に望む思いが、欲であり、
水が満たされ、下に臨む想いが、慢であり、
注がれる水が善であり、空の器こそが徳です。