第四章 第四四話 対話編
CASE 妙法 の裏に 秘法
マナミ パーラミー、妙法って、どういうものなの?
マサシ 波羅蜜は、人間界で説く、人々の教えなのさ。
マナミ 欲界の地で、説く教えとは、どんなものなの?
マサシ 地の人は、欲に溺れ易いため、欲を御すのさ。
マナミ 地の衆生が、欲を抱くのは、どうしてなの?
マサシ 地上に暮らし、天を見上げて、望むからだよ。
マナミ 神々を見て、自分も成りたいと、見ているの?
マサシ うん、だから、そう為り得る、法が説かれる。
マナミ ヴァジュラ、秘法って、どういうものなの?
マサシ 金剛乗は、天人界で解く、神々の教えなのさ。
マナミ 欲界の天で、解く教えとは、どんなものなの?
マサシ 天の神は、慢に嵌り易いため、慢を御すのさ。
マナミ 天の衆生が、慢を抱くのは、どうしてなの?
マサシ 天上に暮らし、地を見下ろし、臨むからだよ。
マナミ 人々を見て、自分は為らないと、見ているの?
マサシ うん、だから、そう成り得る、法が解かれる。
マナミ つまり、欲を抱く地では、天に上る法を説き、
逆に、慢を擁く天では、地に下る法を解くの?
マサシ そうさ、欲の世界は、欲と慢で巡り続けるよ。
マナミ ……………………
CASE 妙法 の先に 秘法
サトミ 欲を御す法、妙法って、どういうものかな?
メグミ 妙法とは、良くを律して、良くを誘う教えよ。
サトミ 欲に溺れる、地上の人々に、説く教えなの?
メグミ 地の人は、天を見上げて、欲に溺れるからね。
サトミ 地の人々の、欲を満すには、どうするのかな?
メグミ 上まで昇って、天に応えよと、説き明かすの。
サトミ 地の人々が、欲に溺れると、どうなるのかな?
メグミ 上まで登らず、下から崇めて、願望するのよ。
サトミ 慢を御す法、秘法って、どういうものかな?
メグミ 秘法とは、飽くを律して、飽くを導く教えよ。
サトミ 慢に嵌まる、天上の神々に、解く教えなの?
メグミ 天の人は、地を見下ろし、慢に嵌まるからね。
サトミ 天の神々の、慢を壊すには、どうするのかな?
メグミ 下まで降りて、地に仕えよと、解き明かすの。
サトミ 天の神々が、慢に嵌まると、どうなるのかな?
メグミ 下まで落ちず、上から治めて、満足するのよ。
サトミ なるほど、下は上に誘って、上は下に導くと。
う~ん、これって、繰り返すだけじゃないの?
メグミ あら、気づいたかな、仏の法を解く時が来た?
サトミ ……………………
CASE 正法になる と 末法になる
メグミ 上を望む人々には、どんな法を説くのですか?
マコト 欲に溺れないように、五つの戒を守らせるの。
メグミ 下に臨む神々には、どんな法を解くのですか?
マコト 慢に陥らないように、五つの仏を護らせるの。
メグミ 地上の人々に、戒を守らせるのは、誰ですか?
マコト 仏の命を、護ろうとしている、天上の神々よ。
メグミ 人々が、戒を守るときは、どうなるのですか?
マコト 戒を守った、地上の人々は、欲を越えるけど、
地上を治めた、天上の神々が、慢に陥るのよ。
メグミ 人々が、戒を破るときは、どうなるのですか?
マコト 戒を破った、地上の人々は、欲に塗れるけど、
地上を乱した、天上の神々は、慢が崩れるの。
メグミ つまり、地が正法のとき、天が末法となり、
その逆に、地が末法のとき、天が正法となる?
マコト そうよ、正法や末法は、永遠には続かない。
天と地で、正法と末法が、巡り続けるだけよ。
メグミ う~ん、この欲の世界、上手く行きませんね。
人々と神々、同時に、幸福になることはない。
マコト あら、仏の秘密の使命に、気づいて来たわね。
メグミ ……………………!!
CASE 秘法なき妙法 と 妙法なき秘法
サトミ 妙法と秘法、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 地に説く法、妙法って、どういうものかな?
メグミ 妙法とは、地上の衆生を、天上に誘う教えよ。
サトミ 天に解く法、秘法って、どういうものかな?
メグミ 秘法とは、天上の衆生を、地上に導く教えよ。
サトミ 妙法を望み、秘法に臨まないと、どうなるの?
メグミ 秘法なき妙法なんて、唯の仮法に過ぎないよ。
サトミ じゃ、良くを誘っても、慢に陥るだけなの?
メグミ そうよ、慢を落さないと、良くが飽くだけよ。
サトミ 秘法を望み、妙法に臨まないと、どうなるの?
メグミ 妙法なき秘法なんて、只の滅法に過ぎないよ。
サトミ じゃ、飽くを導いても、欲に返るだけなの?
メグミ そうよ、欲を戻さないと、飽くが厭くだけよ。
サトミ 妙法だけでは、天国の方に、欲界が偏るし
秘法ばかりでは、地獄の法に、欲界が偏るの?
メグミ うん、妙法と秘法、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、秘法を究め、妙法を極めていくの?
メグミ そうなの、妙法を超え、秘法を越えていくの。
サトミ ……………………!!