第四章 第四六話 対話編
CASE 秘密 の裏に 金剛
マナミ 護法に関する、天の法は、どういうものなの?
マサシ 天の法では、法を曝したら、業を晒されるよ。
マナミ この天の法を、認めない人は、どう考えるの?
マサシ 法を曝せば、自らが得をすると、捕えるのさ。
マナミ この天の法を、見とめる人は、どう考えるの?
マサシ 法を晒せば、自らが損をすると、捉えるのさ。
マナミ 天の法を、認められたら、曝さなくなるの?
マサシ 我がために、法を曝す人は、消えてくるけど、
人々のために、法を晒す人が、現れてくるよ。
マナミ 我がために、曝さない人は、どう考えるの?
マサシ 先に得しても、後で損すると、捕えているよ。
マナミ 他のために、晒せる人って、どう考えるの?
マサシ 先に損しても、後で徳すると、捉えているよ。
マナミ 曝したら、晒されて、自ら損を受けるけど、
他のために、曝したら、其の損が徳になるの?
マサシ うん、損を厭わない、広大な心が、徳なのさ。
マナミ う~ん、曝せば得する、そう考えてないの?
マサシ 君は、是までの道を、辿って来てないのかい?
大丈夫、そういう人に、この道は解かないよ。
マナミ ……………………
CASE 秘密 の先に 金剛
サトシ 曝さない階、秘密って、どういうものかな?
マサシ 秘密とは、我がためには、曝さない戒なのさ。
サトシ 我がために、晒していると、どうなるのかな?
マサシ 穢れが集まり、内が汚くなり、外が浄くなる。
サトシ 我がために、曝さないなら、どうなるのかな?
マサシ 汚れを捨てて、内が清くなり、外が穢くなる。
サトシ 晒させる階、金剛って、どういうものかな?
マサシ 金剛とは、世のためには、晒させる界なのさ。
サトシ 世のために、曝さないなら、どうなるのかな?
マサシ 役が滞るから、我が清いまま、世が穢いまま。
サトシ 世のために、晒していると、どうなるのかな?
マサシ 役が巡るから、我が汚くなり、世が浄くなる。
サトシ せっかく、我が汚れを、外に投げ捨てたのに、
今度は、世の穢れを、内に受け容れていくの?
マサシ そうだよ、自分だけが、幸せなら良いのかい?
サトシ 良いよ、僕が戒を守って、器を磨いたんだ。
マサシ この先は、世の界を護って、器を広げようよ。
サトシ 嫌だよ、器を開けてたら、器が汚れちゃうよ。
マサシ そうかい、そんな人に、その先は解かないよ。
サトシ ……………………
CASE 秘密 という 金剛
サトミ あんた、世のためなら、暴いて良いなんて、
到底、認められない、法を解いているそうね。
マサシ これは、天人の教えで、天の法が前提にある。
サトミ 天が司る、前提の法って、どういうものなの?
マサシ 法を曝せば、業が晒される、ということさ。
それを前提に、秘法を暴くと、どうなるかな?
サトミ 暴いたら、発かれるし、法を説けなくなるわ。
マサシ すると、法が廃れるから、世が乱れてしまう。
サトミ それでも、あたしはイヤよ、誰か説いてよね。
マサシ 罪を定める、法が布かれたら、どうなるかな?
サトミ 敷いたら、強いられるから、自らも縛られる。
マサシ だからとて、法を説かないと、罪が重なるよ。
サトミ それでも、あたしはイヤよ、誰か罰してよね。
マサシ 悪しき者を、法で圧えないと、どうなるかな?
サトミ 抑えれば、押さえられるし、下に見られるわ。
マサシ だからとて、法を教えないと、悪が増えるよ。
サトミ それでも、あたしはイヤよ、誰か訓えてよね。
マサシ 我が身しか、考えに入らない、君は近づくな。
この法は、治める側の教え、天の訓えなのさ。
サトミ ……………………
CASE 金剛 と 秘密 と 帝釈 !
マサシ 界を明かす、金剛は、どういうものですか?
アキラ 金剛とは、欲に負けて、界を破ることである。
マサシ 我がために、境を侵すと、どうなりますか?
アキラ 界が犯される。境を通して、欲が損に変わる。
マサシ 界を定める、秘密は、どういうものですか?
アキラ 秘密とは、欲に勝って、界を守ることである。
マサシ 皆のために、境を護ると、どうなりますか?
アキラ 界が守られる。境を透して、欲が得に換わる。
マサシ 界を活かす、帝釈は、どういうものですか?
アキラ 帝釈とは、欲を越えて、界を司ることである。
マサシ 他のために、境を犯すと、どうなりますか?
アキラ 界が縛らない。境を徹して、欲が徳に替わる。
マサシ たとえ、一時的に、我が境が侵されようと、
最終的に、守られるなら、界を犯すのですか?
アキラ たとえ、代表的に、我が境が破られようと、
全体的に、護られるなら、界を壊すのである。
マサシ その器こそが、帝釈の眷属、四天王天ですか?
アキラ 逆説的だが、守っているから、護れなくなる。
帝釈の一族は、公開と秘密、その両界を司る。
マサシ ……………………!!
CASE 金剛なき秘密 と 秘密なき金剛
サトミ 秘密と金剛、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 曝さない解、秘密って、どういうものかな?
メグミ 秘密とは、自我のために、法を守らせる戒よ。
サトミ 晒させる解、金剛って、どういうものかな?
メグミ 金剛とは、自然のために、法を巡らせる界よ。
サトミ 秘密を望み、金剛に臨まないと、どうなるの?
メグミ 金剛なき秘密なんて、法が溜まるだけなのよ。
サトミ じゃ、法を守るばかり、法が巡らないのかな?
メグミ そうよ、法が偏らされて、法が腐っていくよ。
サトミ 金剛を望み、秘密に臨まないと、どうなるの?
メグミ 秘密なき金剛なんて、法が漏れるだけなのよ。
サトミ じゃ、法が巡るばかり、法を守らないのかな?
メグミ そうよ、法が均らされて、法が流れていくよ。
サトミ 秘密だけでは、法に縛られ、業に変わるし、
金剛ばかりでは、法が破られ、業に換わるの?
メグミ うん、秘密と金剛、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、金剛を究め、秘密を極めていくの?
メグミ そうなの、秘密を超え、金剛を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 四 天 王 天
マサシ 四天王天、第一天界は、どういうものですか?
アキラ 第一天界は、仏法を護る、天人の住居である。
マサシ 須弥山の東に、どんな神が、住まうのですか?
アキラ 持国天が住まい、東勝身洲を、守護している。
マサシ 須弥山の南に、どんな神が、住まうのですか?
アキラ 増長天が住まい、南贍部洲を、守護している。
マサシ 須弥山の西に、どんな神が、住まうのですか?
アキラ 広目天が住まい、西牛貨洲を、守護している。
マサシ 須弥山の北に、どんな神が、住まうのですか?
アキラ 多聞天が住まい、北倶盧洲を、守護している。
マサシ それでは、護法とは、どういうことですか?
アキラ いや、それについては、尋ねるべきではない。
マサシ 自分は、ここを好奇心で、訪ねてはいません。
時が来ました、真実とは何か、示して下さい。
アキラ 人に説く法、神に解く法は、矛盾して見える。
それゆえ、混らない様に、忍び寄る者を除く。
マサシ つまり、禁断の果実に、近づく者を排除する。
アキラ 人は、知恵の実を食して、矛盾に苛まれる。
彼らに、矛盾の果を喰らう、決意は有るのか。
マサシ ……………………!!
CASE 第 一 天 界
サトシ あのね、第一天界って、どういうものかな?
マサシ それはね、法を司るもの、欲界の天界なのさ。
サトシ 天を通さず、法が偏るほど、どうなるのかな?
マサシ 欲が強い者に、法が隠されて、法が腐るのさ。
サトシ 天を徹して、法が広がると、どうなるのかな?
マサシ 欲が深い者の、法が解かれて、法が蘇るのさ。
サトシ 欲の世界は、放って置くと、その良く故に、
法が腐るから、法を管理する、天界が有るの?
マサシ その通りさ、偏り過ぎると、法は業になるよ。
サトシ 具体的に、悪人に対して、何を行っているの?
マサシ 未熟な者が、高度な教えに、触れないように、
覗き見る者に、試練を与えて、追い払うのさ。
サトシ 具体的に、善人に対して、何を為しているの?
マサシ 円熟の者が、過去の教えに、拘らないように、
凝り拘る者に、口実を与えて、追い出すのさ。
サトシ 善き人でも、法に拘ったら、悪人と同じなの?
マサシ そうだよ、条件が合わず、法が業になるのさ。
サトシ う~ん、善人まで締め出す、必要は無いよね。
マサシ こうして、法を曲げてしまう、それが業だよ。
サトシ ……………………
CASE 秘密の乗り物 と 金剛の乗り物
マナミ タントラ、秘密乗って、どういうものなの?
マサシ 秘密は、法を明かさない、密教の一面なのさ。
マナミ どうして、意味を共有したら、いけないの?
マサシ 天界の法と、人界の常識は、矛盾するからさ。
マナミ ヴァジラ、金剛乗って、どういうものなの?
マサシ 金剛は、心を動かさない、密教の一面なのさ。
マナミ どうして、意識を共有したら、いけないの?
マサシ 天人の心と、人間の感情は、乖離するからさ。
マナミ 天界の教えと、人界の教えは、全く違うから、
天の教えは、地とは隔して、人からは隠すの?
マサシ うん、密教は、同意を求める、頭が弱い人や、
同情を望む、心が弱った人には、解けないよ。
マナミ これって、少しでも誤まれば、精神病質者よ。
マサシ そうさ、背景に利他が無ければ、そのものさ。
マナミ でも、利己なのか利他なのか、解らなくない?
マサシ 大丈夫、分からない人には、説かないからね。
マナミ 絶対、こんな危険な教え、解いたらいけない。
マサシ 大丈夫、心が動じる人には、説かないからね。
どうやら、君には早いな、君には隠しておく。
マナミ ……………………
CASE 秘 密 結 社
マサシ 君たちは、秘密結社を、知っているのかい?
天の教えで、地を治める、組織が隠れている。
サトシ そんなの、知らないよ、どうして、匿すわけ?
マサシ とても、地の人には、受け容れられないし、
凡そ、誤解されるから、秘密にしてあるのさ。
サトシ う~ん、おかしいな、どうして、誤解するの?
マサシ 地の法と、天の法では、真逆の教えだからさ。
天の教えを、地に解くと、人は獣に堕落する。
サトシ いやいや、その話なら、良く知っているよ。
人類を、獣に堕落させる、陰謀のことだよね。
マサシ それこそ、好奇心に止まる、誤解なんだよ。
本当は、神に進化させる、神謀のことなのさ。
サトシ いやいや、悪魔崇拝の、666のことだよね。
聖書に、獣の数字だって、警告してあったよ。
マサシ それこそ、当然だよね、神の秘密を守るため、
安易に、近づかないよう、記しておいたのさ。
サトシ 666が、生命の実を守る、天使だってわけ?
う~ん、信じられないな、虚言は良くないよ。
マサシ まだ、君には早いようだね、すべて忘れてよ。
サトシ ……………………
CASE 禁 断 の 実
マサシ 僕には、禁断の実を守る、役目があるのさ。
サトシ 少しぐらい良いじゃん、僕にも食べさせてよ。
マサシ 止めた方が良いって、大事なものが壊れるよ。
サトシ うん、それは、覚悟の上だから、大丈夫だよ。
マサシ もっと、色々と、知ってから、来ると良いよ。
サトシ もう、十分に、この世界を、眺めて来たよ。
マサシ もっと、色々と、解ってから、来ると良いよ。
サトシ もう、十分に、この世界を、学んで来たよ。
マサシ もっと、色々と、捕らわれて、来ると良いよ。
サトシ もう、十分に、この世界に、囚われて来たよ。
マサシ それなら、後は、それが、壊れるだけかい?
サトシ うん、もはや、悟るだけだから、大丈夫だよ。
マサシ じゃあ、これからは、君も、僕の仲間だね。
僕と一緒に、秘密の実を、守って貰おうかな。
サトシ その前に、肝心の生命の実は、何処にあるの?
別に守っても良いけど、僕も食べてからだよ。
マサシ いやいや、そんなものは、初めから無いのさ。
サトシ 嘘だよ、有るって、世界では言われていたよ。
マサシ 有ると思わせないと、観念は壊せないからね。
サトシ ……………………