物語編
第四章 第五二話 概念編
第四章 金剛界
第五二回 善行 の裏に 悪行
善行は、悪を憎んで、善を慈しむ行のこと
悪行とは、善を悪んで、悪を愛する行のこと
善行は、他の悪に囚われ、自ずから悪を捕えて
悪行では、他の善に捕われ、自ずから善を捉える
人とは、欲を充たすことを、善と見るもの
天人とは、慢を満たすことを、悪と見るもの
衆生が、欲を充たしてから、慢を満たしていく
即ち、地の善を突き詰めると、天の悪に辿り着く
人とは、欲が叶わぬことを、悪と見るもの
天人とは、慢が適わぬことを、善と見るもの
衆生が、欲を叶えないなら、慢は適えられない
即ち、地の悪を突き詰めると、天の善に辿り着く
金剛は、動を司る、大日如来の智慧であり
善行が究められると、悪行に極められること
善行の段は、我が善の行いを、善と捕えている
悪行の階では、我が悪の行いを、善と捉えている