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物語編

第四章 第五三話 概念編

第四章     胎蔵界
第五三回 悪行 の裏に 徳行

 

悪行は、善を憎んで、悪を愛する行のこと
徳行とは、善を愛して、悪を慈しむ行のこと
悪行は、他の得を奪って、自ずから得を捕えて
徳行とは、我が得を譲って、自ずから徳を捉える

 

人とは、我を利することを、得と見るもの
天人とは、他を律することを、損と見るもの
衆生は、我を利していると、他を律してしまう
即ち、地の得を受け容れると、天の損に移り変る

 

人とは、他を利することを、損と見るもの
天人とは、我を律することを、徳と見るもの
衆生は、他を利していると、我を律してしまう
即ち、地の損を受け容れると、天の徳に移り変る

 

胎蔵は、静を司る、大日如来の慈悲であり
悪行が究められると、徳行を極められること
悪行の段は、自と他の行いを、苦と捕えていて
徳行の階では、自と他の行いを、空と捉えている

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