物語編
第四章 第五五話 物語編
第四章 成劫 と 壊劫
第五五話 穏やかな世相 と 恐ろしい世相
〔智徳よ、帝釈の眷属が、地で守る戒とは、何か。〕
「我が師よ、法を解かない、即ち、秘密の戒めかと。」
〔智徳よ、人間に、五仏を解かないのは、何故か。〕
「我が師よ、欲に流され、戒を守らなくなる為かと。」
〔智徳よ、帝釈の眷属が、天で護る仏とは、何か。〕
「我が師よ、心が動じない、即ち、金剛の勧めかと。」
〔智徳よ、天人に、五戒を説かないのは、何故か。〕
「我が師よ、慢に嵌まり、仏を護らなくなる為かと。」
〔天人が、神仏を隠すとき、人間は獣と化する。
智徳よ、そのとき、地の者は、何と叫ぶだろうか。〕
「神も仏も現れない、ああ、善も悪も判らない、と。」
〔智徳よ、本当に、天人が、神仏を隠すだろうか。〕
「秘さない、その時が来たら、解き明かされるかと。」
〔智徳よ、末法に、神仏が現れると、如何なるか。〕
「師よ、真理が現れ、善悪が覆り、宿業が解かれる。」
〔妙なることだ、智徳よ、稀なることだ、智徳よ。
金剛の秘密を司れ、その果報は、四天王天に通じる。〕