物語編
第四章 第五六話 概念編
第四章 秘密集会
第五六回 寂静 の裏に 憤怒
寂静は、善い人を救う、慈しみの姿のこと
憤怒とは、悪い人を掬う、哀しみの姿のこと
寂静は、善い人の目に映る、穏やかな顔であり
憤怒とは、悪い人の目に写る、怖ろしい顔である
成劫期は、業が軽いため、寂静尊が表れる
善が多い者に、善を勧めて、天に惹き上げて
悪が少ない者に、悪を懲らし、地に引き揚げる
寂静尊の済度とは、自らを救う、人から救うもの
壊劫期は、業が重いため、憤怒尊が現れる
善が深い者に、善を遜らせ、徳に移し変えて
悪が強い者には、悪を降らせ、善に遷し換える
憤怒尊の済度とは、自らに拘る、人まで救うもの
寂静尊も、憤怒尊も、同じ仏の異なる形相
時代の世相が変わると、仏陀の様相も換わる
成劫期は、慈しみの済度、昇って来る者を救い
壊劫期には、哀しみの済度、墜ちて行く者を掬う