物語編
第四章 第五八話 物語編
第四章 転向 と 回向
第五八話 善の受け容れ と 悪の受け容れ
〔智徳よ、蓮華の眷属が、地で守る戒とは、何か。〕
「我が師よ、家を壊さない、即ち、不淫の戒めかと。」
〔智徳よ、人間が、人倫を侵さないのは、何故か。〕
「我が師よ、人の道を、共に歩みたいがため、かと。」
〔智徳よ、蓮華の眷属が、天で護る仏とは、何か。〕
「我が師よ、家を守らない、即ち、不倫の勧めかと。」
〔智徳よ、天人が、人道を外させるのは、何故か。〕
「我が師よ、神の道を、人に歩ませたいため、かと。」
〔天人が、家庭を壊すとき、人々は路頭に迷う。
智徳よ、そのとき、地の者は、何を望むだろうか。〕
「共に歩む友が要る、ああ、友と歩む道が要る、と。」
〔智徳よ、本当に、天人が、道を閉ざすだろうか。〕
「鎖さない、人道は天道に続き、天道は梵天に続く。」
〔智徳よ、梵天が、神の子を送ると、如何なるか。〕
「師よ、出家が適い、地の人は、梵行に勤しむかと。」
〔妙なることだ、智徳よ、稀なることだ、智徳よ。
出家の仕組を司れ、その果報は、覩史多天に通じる。〕