第四章 第五七話 対話編
CASE 順縁 の裏に 逆縁
マナミ 順がう関係、順縁って、どういうものなの?
マサシ 順縁とは、愛し合うから、楽が生まれる縁さ。
マナミ 自ずと、支え合うから、喜びが産まれるのね。
マサシ それでも、囚われるなら、話しが変ってくる。
マナミ 順に親しみ、楽に慣れると、どうなるのかな?
マサシ 少しずつ、善業が尽きて、順縁が逆縁になる。
マナミ 逆らう関係、逆縁って、どういうものなの?
マサシ 逆縁とは、憎み合うから、苦が生まれる縁さ。
マナミ 自ずと、啀み合うから、憂いが産まれるのね。
マサシ それでも、逃げないなら、話しが変ってくる。
マナミ 逆に親しみ、苦に慣れると、どうなるのかな?
マサシ 少しずつ、悪業が落ちて、逆縁が順縁になる。
マナミ そうすると、順縁にしても、逆縁にしても、
慣れていくと、逆転していく、仕組なのかな?
マサシ うん、有り難く感じれば、縁が長く続くし、
反対に、当り前に観じれば、縁が早く変るよ。
マナミ じゃ、順の縁は、有り難く感じれば良いし、
反対に、逆の縁は、当り前に観じれば良いね。
マサシ うん、こういう縁は、有り難く感じて欲しい。
マナミ ……………………!!
CASE 順縁 の先に 逆縁
サトミ 助け合う縁、順縁って、どういうものかな?
メグミ 順縁とは、縁が強いから、愛し合う関係だよ。
サトミ 憎み合う縁、逆縁って、どういうものかな?
メグミ 逆縁とは、縁が強いから、憎み合う関係だよ。
サトミ う~ん、ということは、縁が強いだけでは、
順縁にもなるし、逆縁にもなる、ということ?
メグミ 縁が深く、我が弱いと、順縁に成り易いし、
縁が深くて、我が強いと、逆縁に為り易いよ。
サトミ 順縁なら、いつまでも、順縁じゃないのかな?
いつか、逆縁になるのは、悲し過ぎると思う。
メグミ でも、愛が強くなると、憎も強くなるから、
悪戯に、縁が近いと、順にも逆にもなるのよ。
サトミ 必ず、あたし達の縁も、逆になるんでしょ。
絶対に、そんなの嫌だよ、どうしたら良いの?
メグミ それなら、我を忘れるほど、順逆が消えるよ。
サトミ あたし達の、特別な関係まで、消えちゃうよ。
メグミ 本当の意味で、愛し始めるから、大丈夫だよ。
サトミ それなら、真の愛のように、真の縁もあるの?
メグミ あるよ、常に誰とも繋がれる、神縁のことね。
サトミ ……………………!!
CASE 逆縁なき順縁 と 順縁なき逆縁
サトミ 順縁と逆縁、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 順を支える、順縁って、どういうものかな?
メグミ 順縁とは、同側に回って、友を演じることよ。
サトミ 逆を支える、逆縁って、どういうものかな?
メグミ 逆縁とは、逆側に回って、敵を演じることよ。
サトミ 順縁を望み、逆縁に臨まないと、どうなるの?
メグミ 逆縁なき順縁なんて、自我が肥大するだけよ。
サトミ じゃ、我を肥すだけで、我が刻されないの?
メグミ そうよ、器を越えるから、心が重くなるのよ。
サトミ 逆縁を望み、順縁に臨まないと、どうなるの?
メグミ 順縁なき逆縁なんて、自我が委縮するだけよ。
サトミ じゃ、我を刻すだけで、我が肥されないの?
メグミ そうよ、器が壊れるから、心が塞ぐだけだよ。
サトミ 順縁だけは、欲に順がって、我が肥えるし、
逆縁ばかりは、欲に逆らって、我が潰れるの?
メグミ うん、順縁と逆縁、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、逆縁を究め、順縁を極めていくの?
メグミ そうなの、順縁を超え、逆縁を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 不 動 明 王
メグミ 不動明王の済度は、その名の通り、神業なの。
サトミ 不動明王に抗う、悪人は、どのように救うの?
メグミ 悪行を受け容れて、善行に移し変えるのよ。
善人を救済するため、悪人に悪行をさせるの。
サトミ 不動明王に従う、善人は、どのように救うの?
メグミ 善行を突き詰めて、徳行に移し変えるのよ。
悪人を救済するため、善人に善行をさせるの。
サトミ う~ん、良く解からない、どういうことなの?
メグミ 悪い人が、明王を危めたら、どうなると思う?
サトミ 善い人々は、明王を護ろうと、悪人と戦うわ。
メグミ 明王がね、悪人を許したら、どうなると想う?
サトミ 善い人々は、明王に倣おうと、悪人を許すわ。
メグミ 善人は、明王に従って、善行を成したけど、
結果的に、悪行を許して、徳行に変ったのよ。
サトミ 悪人は、明王に抗って、悪行を為したけど、
結果的に、徳行を勧めて、善行に換ったのよ。
メグミ 明王により、善は徳になり、悪は善になった。
サトミ うん、すごい、どうして、こうなるのかな?
メグミ 悪を許しただけ、名の通り、不動明王なのよ。
サトミ ……………………!!