第五章 第一話 対話編
CASE 信仰 の裏に 真仰
マナミ 神を信じる、信仰って、どういうものなの?
マサシ 信仰とは、神を忘れると、我を覚えることさ。
マナミ 神を信じて、我を覚えるのは、どうしてなの?
マサシ 何故なら、神を選んでいる、我を信じている。
マナミ つまり、神を信じる振りして、我を信じるの?
マサシ うん、だから、気に入らないと、神を捨てる。
マナミ つまり、裏切られると、神を信じなくなるの?
マサシ そうだよ、それこそ、我を信じている証だよ。
マナミ 神を認める、真仰って、どういうものなの?
マサシ 真仰とは、我を忘れると、神を覚えることさ。
マナミ 我を忘れて、神を認めるのは、どうしてなの?
マサシ 何故なら、我が消えるとき、神が現れてくる。
マナミ つまり、神を信じる型をして、我を捨てるの?
マサシ うん、だから、何を信じようと、神が現れる。
マナミ つまり、何が起きても、神を見とめられるの?
マサシ そうだよ、それこそ、神を信じている証だよ。
マナミ じゃあ、我が神様、我が宗教が、一番だって、
言っている人は、我が一番と、考えているの?
マサシ うん、神を忘れるほど、熱心な自分教なのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 信仰 の先に 真仰
サトミ あたしは、何の神様を、信じたら良いのかな?
メグミ あのね、神を信じるとは、我を捨てることよ。
サトミ じゃ、我を捨てないと、我を信じちゃうの?
メグミ そうよ、神を信じている、我を信じているの。
サトミ 神を、選んでいる限り、神を信じられないの?
メグミ そうよ、我を捨てるなら、何を信じてもいい。
サトミ もし、善い神様を信じたら、どうなるのかな?
メグミ それは、信じれば信じるほど、幸福になるよ。
サトミ もし、悪い神様を信じたら、どうなるのかな?
メグミ それは、信じれば信じるほど、不幸になるよ。
サトミ ちゃんと、神を選ばないと、ダメじゃない。
メグミ ううん、神を択んでしまうと、我を信じるよ。
それにね、善か悪かなんて、すべて後付けよ。
サトミ つまり、幸福に成ったら、善い神と思うし、
その逆に、不幸に為ったら、悪い神と想うの?
メグミ 自らが、絶対神と化して、神を裁いてしまう。
それまで、神と崇めた者を、悪魔だと罵るよ。
サトミ 一体、何を、あたしは、信じたら良いわけ?
メグミ だからってね、わたしを、信じたら良くない。
サトミ ……………………
CASE 信仰 という 真仰
サトシ 外を信じる、信仰って、どういうものかな?
アツシ 信仰とは、我が外を見て、神を望むことだな。
サトシ 自我の外に、神を望むほど、どうなるのかな?
アツシ 自我が解して、善い神と、悪い神に分かれる。
サトシ 外の世界が、善と悪に、別れてしまうのかな?
アツシ そうだな、我から見える、世界が見えてくる。
サトシ 内を信じる、真仰って、どういうものかな?
アツシ 真仰とは、我が内を見て、神に臨むことだな。
サトシ 自我の内に、神を臨むほど、どうなるのかな?
アツシ 自我を介さず、総べての者に、神を見とめる。
サトシ 外の世界が、すべて美しく、現われてくるの?
アツシ そうだな、神から見える、世界が見えてくる。
サトシ つまり、外に神を望んだら、神を我が汚すし、
逆に、内の神に臨んだら、神が我を浄めるの?
アツシ そうだ、外に望むのは、自我に他ならないし、
逆に、内に現われるのは、真我に他ならない。
サトシ じゃあ、神を信じたい、我に気づくことで、
最終的に、我を忘れると、神に近づくわけか。
アツシ これも、俺を信じずに、自ら確かめることだ。
サトシ ……………………!!
CASE 真仰なき信仰 と 信仰なき真仰
サトミ 信仰と真仰、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 我を信じる、信仰って、どういうものかな?
メグミ 信仰とは、外に表われる、神を信じることよ。
サトミ 我を忘れる、真仰って、どういうものかな?
メグミ 真仰とは、内に現われる、神を信じることよ。
サトミ 信仰を望み、真仰に臨まないと、どうなるの?
メグミ 真仰なき信仰なんて、唯の我執に過ぎないよ。
サトミ じゃ、神を信じている、我を信じているの?
メグミ そうよ、我を信じている、我に執らわれるよ。
サトミ 真仰を望み、信仰に臨まないと、どうなるの?
メグミ 信仰なき真仰なんて、只の没我に過ぎないよ。
サトミ じゃ、我を忘れながら、神を忘れているの?
メグミ そうよ、神を忘れている、我に没しているよ。
サトミ 信仰だけでは、我を和えて、神に会えないし、
真仰ばかりでは、我が解けて、神も溶けるの?
メグミ うん、信仰と真仰、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、真仰に依り、信仰に拠っていくの?
メグミ そうなの、信仰を究め、真仰を極めていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 信じる者 は 掬われる
サトミ あたし、神様のことが、大好きなんだけど。
メグミ どうして、あなたは、神様が大好きなのかな?
サトミ だって、信じていたら、救ってくれるのよ。
信じるだけで、救われるなんて、得じゃない。
メグミ そうすると、あなたが、信じているものは、
内なる神じゃなくて、外なる神に過ぎないよ。
サトミ えっ、内なる神と、外なる神って、違うの?
メグミ 内なる神は、信じる者には、徳を授けるし、
外なる神々は、信じる者には、得を与えるよ。
サトミ じゃ、素直に信じると、内に繋がるけれど、
反対に、損得で信じると、外に連なるのかな?
メグミ うん、感謝で信じると、裏切られないけど、
反対に、打算で信じると、裏切られてしまう。
サトミ じゃ、救われたいって、損得で信じるなら、
いずれ、掬われてしまい、勘定が覆るのかな?
メグミ うん、得を信じる者は、損で裏切られるのよ。
損得で、信じる者は、足を掬われる仕掛なの。
サトミ やだ、あたしって、騙されていただけなのね。
メグミ うふっ、それさえも、信じれば内に繋がるよ。
サトミ ……………………
CASE 信じる者 は 救われる
サトミ あたし、信じていた者に、裏切られてばかり。
もう、何を信じれば良いか、解らなくなった。
メグミ たとえ、何を信じようと、我を信じているの。
我は、神じゃないから、信じるに値しないよ。
サトミ いずれ、信じ切れないで、裏切られるわけ?
それなら、思い切って、信仰を捨てようかな。
メグミ それも、外を信じてない、我を信じているよ。
信じても、信じないという、弱い者の信仰よ。
サトミ もうっ、訳が解からない、どうしたら良いの?
あなたにも、裏切られたら、あたしもうだめ!
メグミ そうして、裏切られると、思ってしまうのは、
何より、自分を信じている、証と見とめるの。
サトミ あたしは、神様を信じる、自分を信じていた。
つまり、神様を装った、悪魔そのものだった?
メグミ それさえ、許してくれる、神様を信じるの。
それこそが、信仰を越える、真の信仰なのよ。
サトミ 今までの、全ての過ちが、認められていたの?
メグミ 内なる神が、自我を透して、見ていたからね。
自我を信じる、真我を信じる、仕組みなのよ。
サトミ ……………………!!