物語編
第五章 第六話 物語編
第五章 預言 と 予言
第六話 預り伝える言 と 予め伝える言
〔善人に、善を諦める、没落の覚悟がないなら、
彼らが、神に対して、善きものを奉げるためには、
悪人から、善きものを、吸い上げなければならない。〕
〔神に、我が身を裂いて、善を捧げているのは、
善に寄添う善人でなく、善とは程遠い悪人である。
我を介し、善を解すだけの者を、聖人とは言わない。〕
〔善人は、神と共に生きたいと、平然と言うが、
十字架まで、背負おうとする者は、皆無に等しい。
善だけ追えば、一文字に過ぎず、行き止まりである。〕
〔本当に救うべき者は、善人でなく悪人である。
悪人を救うことなく、欲界が救われることはない。
善人すら愛されるのに、悪人が愛されない筈がない。〕
〔にもかかかわらず、汝は、何の不自由もなく、
王家に傅かれるだけで、奴隷の者を救わなかった。
あくまで、善の上に立ち、悪人の側に立たなかった。〕
〔だからこそ、汝を、涅槃から引き摺り出して、
王族の支配から、奴隷の民を救い出すよう誘った。
見ざる聞かざるの、汝を動かすのは、骨が折れたが。〕