物語編
第五章 第七話 物語編
第五章 天使 と 動物
第七話 天上に住む魂 と 地上に棲む魂
〔漸く夢から覚め、自らの使命に気づいた汝は、
知恵の実を食べ、欲の奴隷と化した者を導こうと、
自らの欲を御する、律法を人々に説くようになった。〕
〔汝に導かれた者は、欲を抑えられる衝動から、
時に、欲に振り回され、律法を破る事もあったが、
総じて、善い方に導かれ、善良なる民に育てられた。〕
〔彼らは、貴賤や職という、枠組みを乗り越え、
汝が説いた、法を修めて、助け合うようになった。
その結果、律法を守る者は、身も心も豊かになった。〕
〔他の欲を叶えるならば、我が欲も適えられる。
汝は、欲界の最高位に、昇り詰めることになった。
自ずと、財や人が集まり、学長まで押し上げられた。〕
〔汝は、頂に至って、逃れられない運命を悟る。
昔の如く、王族と奴隷、身分は無くなっていたが、
今度は、同朋と異邦、差別が生まれてしまっていた。〕
〔同じ神を信じている、同胞は愛そうとするが、
異なる教えを信じている、異邦は許そうとしない。
汝が説いた愛の教えが、形ばかりの憎しみと化した。〕