第五章 第四話 対話編
CASE 祈念 の裏に 祈祷
マナミ 我を念じる、祈念って、どういうものなの?
マサシ 祈念とは、我が意のままに、神に祈ることさ。
マナミ 我が意志が、叶えられるよう、神に祈るの?
マサシ そうだよ、我が意のために、神を使うわけさ。
マナミ 我がために、神を使っていると、どうなるの?
マサシ 我と神の間に、魔が生まれて、魔に憑かれる。
マナミ 神に捧げる、祈祷って、どういうものなの?
マサシ 祈祷とは、神の意のままに、神に祷ることさ。
マナミ 神の御心が、適えられるよう、神に祷るの?
マサシ そうだよ、神の意のために、我が仕えるのさ。
マナミ 神のために、我が仕えていると、どうなるの?
マサシ 我と神の間の、魔が埋まれて、神に至るのさ。
マナミ つまり、こうして、ああしてと、願うほど、
少しずつ、神の御心から、離れていくのかな?
マサシ そうさ、そもそも、神様は、願わなくても、
その人に、最も大事なものを、与えてくれる。
マナミ 思いのまま、欲しいものを、望んでいないで、
在りのままに、授かるものに、臨んでいくの?
マサシ その通りさ、欲しがるほど、魔が入り込むよ。
マナミ ……………………
CASE 祈念 の先に 祈祷
サトミ 魔に繋がる、祈念って、どういうものかな?
メグミ 祈念とは、欲を望むため、魔に祈ることだよ。
サトミ 欲を叶える、悪魔って、どういうものかな?
メグミ 悪魔とは、人々の世界を、欲で治めるものよ。
サトミ 欲を望んで、魔に祈るほど、どうなるのかな?
メグミ 望む物を、得る代わりに、魂を握られるのよ。
サトミ 神に繋がる、祈祷って、どういうものかな?
メグミ 祈祷とは、愛に臨むため、神に祷ることだよ。
サトミ 愛を伝える、神様って、どういうものかな?
メグミ 神様とは、世界の人々を、愛で育てるものよ。
サトミ 愛に臨んで、神に祈るほど、どうなるのかな?
メグミ 我が物を、失う代わりに、魂が救われるのよ。
サトミ 魔に祈ると、先に楽をして、後で苦になり、
神に祷るほど、先に苦になり、後で楽になる?
メグミ 魔に祈ると、欲は適うけど、悪に充たされ、
神に祷るほど、欲は損うけど、愛に満ちるよ。
サトミ う~ん、魂を支配されても、欲を叶えるか。
あるいは、我を破壊されても、愛を認めるか。
メグミ うふっ、悩むっていうのは、既に欲だけどね。
サトミ ……………………
CASE 祈念 という 祈祷
サトシ 神様、僕のお願いを、どうか適えて下さい。
マサシ 神様に、お願いごとは、しない方が良いのさ。
サトシ えっ、お願いなんて、誰でも遣っているよ。
例えば、火を焚いたり、木片に書き留めたり。
マサシ 人の欲を、適えるのって、悪魔の役だからね。
欲を介して、支配したいと、考えているから。
サトシ お願いを、適える代わり、命を取り上げるの?
マサシ そうさ、魔に魅入られると、魔が入り込み、
少しずつ、時機がずれて、邪魔が増えるのさ。
サトシ 最適な時に、最適なことが、起きているのに、
自ずから、欲に駆られて、ずらしてしまうの?
マサシ いつも、最高なものを、授けられているんだ。
サトシ それなら、神に祈るには、どうすれば良いの?
マサシ いつも、神様に見守られて、必要なものを、
いつでも、与えられていると、感謝するのさ。
サトシ う~ん、でも、嫌なことも、いっぱい在るよ。
こんなの、最高なものなんて、思えないけど。
マサシ 神様は、そんな人のために、悪魔を創った。
こうして、必要なものを、授けてくれるのさ。
サトシ ……………………
CASE 祈祷なき祈念 と 祈念なき祈祷
サトミ 祈念と祈祷、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 悪魔に祈る、祈念って、どういうものかな?
メグミ 祈念とは、良くを適える、飽くに祈ることよ。
サトミ 神様に祷る、祈祷って、どういうものかな?
メグミ 祈祷とは、良くを越える、解くに祷ることよ。
サトミ 祈念を望み、祈祷に臨まないと、どうなるの?
メグミ 祈祷なき祈念なんて、悪魔信仰に過ぎないよ。
サトミ じゃ、良くが適うけど、解くは叶わないの?
メグミ そうよ、希望を司るもの、悪魔に望むだけよ。
サトミ 祈祷を望み、祈念に臨まないと、どうなるの?
メグミ 祈念なき祈祷なんて、父神信仰に過ぎないよ。
サトミ じゃ、解くが叶うけど、良くは適わないの?
メグミ そうよ、絶望を司るもの、父神に臨むだけよ。
サトミ 祈念だけでは、欲を適えて、悪魔に従うし、
祈祷ばかりでは、欲を越えて、父神に順うの?
メグミ うん、祈念と祈祷、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、祈祷を究め、祈念を極めていくの?
メグミ そうなの、祈念を透し、祈祷を徹していくの。
サトミ ……………………!!