第五章 第五話 対話編
CASE 人類 の裏に 使徒
マナミ ヒトなる者、人類って、どういうものなの?
マサシ 人類とは、善悪を知って、分別を弁える者さ。
マナミ シトなる者、使徒って、どういうものなの?
マサシ 使徒とは、善悪を知って、分別を越える者さ。
マナミ そうすると、人類にしても、使徒にしても、
禁断の実、知恵を食して、善悪を知ったもの?
マサシ 人類は、善悪を解して、捕われている者で、
使徒とは、善悪を解して、囚われてない者さ。
マナミ 善悪を知り、捕われるほど、どうなるのかな?
マサシ 我が善に、囚われるから、他の善を認めない。
マナミ 自らの善に、捕われるから、他の善を認めず、
最善を懸けて、戦い合うのが、人の世界なの?
マサシ そうさ、最善を懸けた、最悪な戦いの中で、
我が善を、他に譲る者が、使徒になるわけさ。
マナミ じゃあ、善を囚われるから、悪に捕われる。
これを悟ると、善悪を越えた、使徒になるの?
マサシ うん、知恵の実の、本当の意味に気づくのさ。
マナミ 知って、解って、囚われないが、知恵なのね。
マサシ 後味の悪さに、捕われる限り、消化不良だよ。
マナミ ……………………!!
CASE 人類 の先に 使徒
サトミ 人に支える、人類って、どういうものかな?
メグミ 人類とは、良くを研いて、刻し合うものだよ。
サトミ 欲を持って、最善を磨いて、突き詰めるの?
メグミ 欲を競わせて、最善が何かを、確かめるのよ。
サトミ 欲を解して、何が最善かを、見とめられるの?
メグミ 幾ら争っても、限界が解らず、認められない。
サトミ 神に仕える、使徒って、どういうものかな?
メグミ 使徒とは、飽くを許して、和し合うものだよ。
サトミ 愛を以って、最悪を赦して、受け容れるの?
メグミ 愛を奮わせて、最悪が何かを、確かめるのよ。
サトミ 愛を介して、何が最悪かを、見とめられるの?
メグミ 幾ら耐えても、限界を迎えて、認められるよ。
サトミ 最善を望み、人類が、産み落してしまった、
最悪に臨んで、使徒は、救い上げていくのね。
メグミ うん、限界が解らず、競い合ってしまった、
最悪な結末を救うため、使徒が現われるのよ。
サトミ 最悪に苦しむ人々に、欲には際限が無いから、
悔い改め、最善を譲りなさいと、解くわけか。
メグミ うふっ、それしか道がないの、悔い改めてね。
サトミ ……………………!!
CASE 人類 という 使徒
サトシ 実ってない、人類って、どういうものかな?
アツシ 人類とは、善悪を知って、我を解するものだ。
サトシ 知恵の実を、盗み食べると、我が生じるの?
アツシ 罪に塗れ、消化し切れず、知恵は実らないな。
サトシ 実っている、使徒って、どういうものかな?
アツシ 使徒とは、善悪を知って、神を解するものだ。
サトシ 知恵の実を、頂き食べると、神を招じるの?
アツシ 罪を越え、昇華し切って、知恵が実るわけだ。
サトシ つまり、半端に解すと、我が意を介するけど、
更に、完全に解すと、神の意を介するわけか。
アツシ そうだ、完全に解くと、知恵が生まれてきて、
この世を、創造した神の、真意が見えてくる。
サトシ じゃあ、その神の真意って、何か教えてよ。
アツシ 神の意を、他所から聞いても、消化できない。
サトシ 僕だけ、こっそり教えてよ、昇華できるかも。
アツシ この世に、罪を抱かせる、善悪は存在しない。
そこで、善悪を想像できる、人類を創造した。
サトシ はぁ、予想と全く違うよ、意味が解からない。
アツシ だから、自ら想像しないと、知恵は実らない。
サトシ ……………………
CASE 使徒なき人類 と 人類なき使徒
サトミ 人類と使徒、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲を伝える、人類って、どういうものかな?
メグミ 人類とは、最善を懸けて、磨き合うものだよ。
サトミ 愛を傳える、使徒って、どういうものかな?
メグミ 使徒とは、最善を譲って、許し合うものだよ。
サトミ 人類を望み、使徒に臨まないと、どうなるの?
メグミ 使徒なき人類なんて、唯の囚人に過ぎないよ。
サトミ じゃ、最善を懸けても、最善を譲らないの?
メグミ そうよ、悪を許さないと、獄に嵌るだけだよ。
サトミ 使徒を望み、人類に臨まないと、どうなるの?
メグミ 人類なき使徒なんて、只の暇人に過ぎないよ。
サトミ じゃ、最善を譲っても、最善を懸けないの?
メグミ そうよ、善を磨かないと、暇に為るだけだよ。
サトミ 人類だけは、許さないから、切りが無いし、
使徒ばかりは、磨かないから、輝きが無いの?
メグミ うん、人類と使徒、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、使徒に依り、人類に拠っていくの?
メグミ そうなの、人類を究め、使徒を極めていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 人類 の裏に 動物
マナミ 欲を順える、人類って、どういうものなの?
マサシ 人類とは、地上に住んで、分別が有るものさ。
マナミ 欲に従がう、動物って、どういうものなの?
マサシ 動物とは、地上に棲んで、分別が無いものさ。
マナミ どうすると、天から地まで、降りて来るの?
マサシ 天に在る、知恵の実を食すと、生れて来るよ。
マナミ 欲が生じて、善悪が分かれると、どうなるの?
マサシ 善を楽しんで、悪に苦しんで、偏り続けるよ。
マナミ この偏りを、自ら従えると、どうなるのかな?
マサシ この欲が、我が子分となって、分別になるよ。
マナミ この偏りに、自ら順がうと、どうなるのかな?
マサシ この欲が、我が本分となって、本能になるよ。
マナミ つまり、欲を使えていると、分別になるし、
捕われて、欲に仕えていると、本能になるの?
マサシ そうさ、良く使えていると、知恵になるし、
囚われて、良く遣えてないと、無智になるよ。
マナミ 自由に、欲を選べることが、人の本分だけど、
欲自体を、本分に択ぶと、獣の本能になるの?
マサシ このように、解していくと、知恵になるのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 人類 の先に 動物
サトミ 自由に選ぶ、人類って、どういうものかな?
メグミ 人類とは、良くを解して、良くを択ぶものよ。
サトミ 欲を解して、良く選ぶのは、どんなときかな?
メグミ 欲に捕われず、分別に従って、択ぶときだよ。
サトミ 我を通して、判別し選ぶと、どうなるのかな?
メグミ 少しずつ、業が積まれて、罪が重くなるのよ。
サトミ 自然に択ぶ、動物って、どういうものかな?
メグミ 動物とは、良くを介して、直ぐに選ぶものよ。
サトミ 欲を介して、直ぐ択ぶのは、どんなときかな?
メグミ 欲に囚われて、本能に順って、選ぶときだよ。
サトミ 我を透して、本分で択ぶと、どうなるのかな?
メグミ 少しずつ、業が摘まれて、罪が軽くなるのよ。
サトミ つまり、自由に選べば、責任を負い易いし、
逆に、自由に択べないと、責任を負い難いの?
メグミ そうよ、自分に従えば、自我に委ねているし、
逆に、本分に順えば、創造主に任せているよ。
サトミ あ~あ、あたしも、神様に委ねて生きたいな。
無責任に、生きられるなんて、楽で良いよね。
メグミ そうやって、選んだ結果は、受け容れるのよ。
サトミ ……………………
CASE 動物 と 人類 と 使徒
サトシ 我を忘れる、動物って、どういうものかな?
アツシ 動物とは、良くを忘れて、本能で生きる命だ。
サトシ 我を重ねる、人類って、どういうものかな?
アツシ 人類とは、良くを弁えて、分別で生きる命だ。
サトシ 我を忘れる、使徒って、どういうものかな?
アツシ 使徒とは、良くを越えて、使命で生きる命だ。
サトシ 知恵の実を、食べたものは、どうなるのかな?
アツシ 善悪を解する、自我を持って、地に生まれる。
サトシ 良くを積み、欲に塗れると、どうなるのかな?
アツシ 良くが詰んで、自由に選べず、本能で生きる。
サトシ 我を忘れて、本能に従うと、どうなるのかな?
アツシ 良くを摘んで、善悪が蘇って、分別で生きる。
サトシ 良くを積み、欲を超えると、どうなるのかな?
アツシ 良くが解けて、歓喜が甦って、使命で生きる。
サトシ 我を忘れて、使命に順うと、どうなるのかな?
アツシ 生死を超えて、生命の実まで、食べてしまう。
サトシ 分別を失い、自我を忘れるなら、獣になり、
自我を忘れて、分別を越えるなら、神になる?
アツシ 同じ忘れるでも、良く考えなければ、獣だな。
サトシ ……………………!!
CASE 動物なき人類 と 人類なき動物
サトミ 人類と動物、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 自我が有る、人類って、どういうものかな?
メグミ 人類とは、分別を持って、自由に選ぶものよ。
サトミ 自我が無い、動物って、どういうものかな?
メグミ 動物とは、本能を以って、自然に択ぶものよ。
サトミ 人類を望み、動物に臨まないと、どうなるの?
メグミ 動物なき人類なんて、頑固者に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、自由に選んでも、自然に択ばないの?
メグミ そうよ、分別に捕われて、本能に委ねないよ。
サトミ 動物を望み、人類に臨まないと、どうなるの?
メグミ 人類なき動物なんて、呆気者に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、自然に択んでも、自由に選ばないの?
メグミ そうよ、本能に囚われて、分別に任せないよ。
サトミ 人類だけは、欲を御しても、我を御さないし、
動物ばかりは、我を忘れても、欲を忘れない。
メグミ うん、人類と動物、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、動物に依り、人類に拠っていくの?
メグミ そうなの、人類を究め、動物を極めていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 動物 の裏に 使徒
マナミ 地上で動く、動物って、どういうものなの?
マサシ 動物とは、地上に棲んで、分別を喪うものさ。
マナミ どうすると、分別を失って、自我を忘れるの?
マサシ Aと非A、どちらかしか、選ばないとなるよ。
マナミ 分別が無く、執着が無いと、動物に変わるの?
マサシ そうだよ、すべてが当り前で、自然になるよ。
マナミ 地上で働く、使徒って、どういうものなの?
マサシ 使徒とは、地上に住んで、分別を超すものさ。
マナミ どうすると、分別を越えて、自我を忘れるの?
マサシ Aと非A、どちらであれ、選べるときなるよ。
マナミ 分別が有り、執着が無いと、使徒に換わるの?
マサシ そうだよ、すべてが有り難く、自然になるよ。
マナミ そうすると、動物だろうと、使徒だろうと、
自然体だから、自我が無くて、神様に近いの?
マサシ その通りさ、使徒だろうと、動物だろうと、
善悪が無くて、業を積み難く、業を摘み易い。
マナミ そうなると、動物だろうと、使徒だろうと、
善悪を通して、判断するのは、過ちなのかな?
マサシ 人の本分は、過ちを犯すことさ、構わないよ。
マナミ ……………………!!
CASE 動物 の先に 使徒
サトミ 本能を司る、動物って、どういうものかな?
メグミ 動物とは、自然体であり、業を摘むものだよ。
サトミ どうすると、神に近づいて、業を摘めるの?
メグミ 神様が授けた、本能に従えば、業が消えるよ。
サトミ 偏りを直すのに、相応しい、生命を享けるの?
メグミ 生まれる前に、神様から、本分を受けるのよ。
サトミ 使命を司る、使徒って、どういうものかな?
メグミ 使徒とは、自然体であり、徳を積むものだよ。
サトミ どうすると、神に近づいて、徳を積めるの?
メグミ 神様が与えた、使命に順えば、徳が広がるよ。
サトミ 限りを壊すのに、相応しい、使命を受けるの?
メグミ 生まれた後で、神様から、本分を享けるのよ。
サトミ 死ぬまで、本分が変らないと、動物だけど、
悟ってから、本分が換わるのが、使徒なのね?
メグミ 同じ命を、死まで続けるのが、動物だけど、
異なる命に、向かい続けるのが、使徒なのよ。
サトミ そっか、変り難い命に、知恵は不要だけど、
その逆に、換り易い命は、知恵が必要なのね。
メグミ 決して、神は教えないから、知恵が要るのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 人類 と 動物 と 使徒
サトシ 地上に住む、人類って、どういうものかな?
アツシ 人類とは、知恵を食べて、地に堕ちたものだ。
サトシ 地上に棲む、動物って、どういうものかな?
アツシ 動物とは、知恵を腐らせ、地に落ちたものだ。
サトシ 地上に住む、使徒って、どういうものかな?
アツシ 使徒とは、知恵を活かし、天に還ったものだ。
サトシ 人類は、知恵の実を食べて、分別を得たけど、
活かせるか、活かせないかで、道が変わるの?
アツシ 昇華できるか、消化できないか、全く異なる。
サトシ 知恵が腐り、悔い改めないと、どうなるの?
アツシ 分別を棄てて、動物として、我を忘れていく。
サトシ 知恵が実り、悔い改めるなら、どうなるの?
アツシ 分別を捨てず、使徒として、神に仕えていく。
サトシ 人類が、知恵の実を食べ、犯した原罪だから、
知恵を活かして、悔い改めるのが、正しいの?
アツシ そうだ、せっかく、知恵の実を得たんだから、
しっかり、磨く方が、知恵の道と思わないか。
サトシ 確かに、その方が、神の御心に適う気がする。
アツシ そうだな、その法が、神の密命に叶う筈だな。
サトシ ……………………!!
CASE 使徒なき動物 と 動物なき使徒
サトミ 動物と使徒、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 知恵が無い、動物って、どういうものかな?
メグミ 動物とは、無為に依って、本分を知るものよ。
サトミ 知恵が有る、使徒って、どういうものかな?
メグミ 使徒とは、有為に拠って、本分を知るものよ。
サトミ 動物を望み、使徒に臨まないと、どうなるの?
メグミ 使徒なき動物なんて、不安に襲われるだけよ。
サトミ じゃ、無為に依っても、有為に拠らないの?
メグミ たとえ、本分を知っても、不安は消えないよ。
サトミ 使徒を望み、動物に臨まないと、どうなるの?
メグミ 動物なき使徒なんて、未知に教われるだけよ。
サトミ じゃ、有為に拠っても、無為に依らないの?
メグミ たとえ、本分を知っても、未知は消えないよ。
サトミ 動物だけでは、見ないから、堕ち付けないし、
使徒ばかりでは、見えるから、落ち着けない。
メグミ うん、動物と使徒、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、使徒に依り、動物に拠っていくの?
メグミ そうなの、動物を究め、使徒を極めていくの。
サトミ ……………………!!