第五章 第六話 対話編
CASE 預言 の裏に 予言
マナミ 預り伝える、預言って、どういうものなの?
マサシ 預言とは、神の言を預り、他に伝えることさ。
マナミ つまり、我が意を交えずに、神の意を伝える?
マサシ 預言では、我が解さない事が、特に大事だよ。
マナミ 予め伝える、予言って、どういうものなの?
マサシ 予言とは、我が言を予め、他に伝えることさ。
マナミ つまり、神の意を騙らずに、我が意を伝える?
マサシ 予言では、神を介さない事が、特に重要だよ。
マナミ 神の言葉が、成就するのは、どうしてなの?
マサシ 神は、決して、嘘を吐かない、だからなのさ。
マナミ 神様は、言葉を使って、創造を成すからなの?
マサシ そうだよ、究極の意味で、神様は有言実行さ。
マナミ 人間も、言行を一致すれば、成就し易くなる?
マサシ 自ずから、考えることを、話すようにして、
話すことは、行なうように、気を付けるのさ。
マナミ 権威から、借りて来た言葉を、騙るのでなく、
自ずと、明らかなことだけ、語ったら良いの?
マサシ そうだよ、そうするとき、予言が預言になり、
自らが、神様の言葉を、代弁するようになる。
マナミ ……………………!!
CASE 預言 の先に 予言
サトミ 神を介する、預言って、どういうものかな?
メグミ 預言とは、我を介さない、神が授ける言だよ。
サトミ 自我が無い、預言者が、神の言を伝えるの?
メグミ 預言者は、我が無いほど、歪まず広がるのよ。
サトミ 我を有する、預言者の場合、どうなるのかな?
メグミ 業が入るから、遠くの人々を、導けなくなる。
サトミ 我を介する、予言って、どういうものかな?
メグミ 予言とは、神を介さない、我が与える言だよ。
サトミ 自我を持つ、救世主が、神の言を適えるの?
メグミ 救世主は、我を奉げると、救いが広がるのよ。
サトミ 我が小さい、救世主の場合、どうなるのかな?
メグミ 器が無いから、多くの人々を、救えなくなる。
サトミ 預言は、業が少ないほど、神を伝えやすく、
救世主は、器が大きいほど、人を救いやすい?
メグミ そうよ、預言者は、霊媒に過ぎないけれど、
救世主は、救うため、器の大きさが重要なの。
サトミ そっか、救世主は、言って終わりじゃなく、
言ったことを、適えるだけの、徳が要るのね。
メグミ うふっ、名乗るなら、その覚悟が、必要だよ。
サトミ ……………………!!
CASE 預言 という 予言
サトミ ねぇねぇ、聞いて、昨夜、御告げがあったの。
アツシ なんだ、君は、霊的な存在と、話せるんだな。
サトミ うん、あたしね、高次元と、交信できるのよ。
アツシ 神霊か、低級霊か、俺からは、解からないが、
最近、そういう輩が、やたらと、増えたよな。
サトミ そう言えば、そうよね、どうして、殖えたの?
アツシ 陳腐に変えて、価値を下げる、神の計画だな。
それはさておき、何処から、どんな御告げだ?
サトミ 実はね、あたしの守護神からの、御告げで、
あたし達、前世で夫婦だから、結婚なさいと。
アツシ あ~あ、そう来たか、良く在るパターンだな。
実は、俺も、最近、御告げを受けているんだ。
サトミ うわぁ、貴方も、霊的な存在と会話できるの?
ステキね、貴方は、どんな御告げを聞いたの?
アツシ 実は、昨晩、俺の守護神からの、御告げで、
俺達は、前世で離婚したから、注意しろって。
サトミ 困ったな、微妙に似ていて、微妙に違うのね。
あたしたち、どっちを信じれば、良いのかな?
アツシ 両方とも、信じ込まないのが、確かな道だな。
サトミ ……………………
CASE 予言なき預言 と 預言なき予言
サトミ 預言と予言、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 言を伝える、預言って、どういうものかな?
メグミ 預言とは、神の意を透し、神が表れることよ。
サトミ 言を適える、予言って、どういうものかな?
メグミ 予言とは、人の業を徹し、霊が現れることよ。
サトミ 預言を望み、予言に臨まないと、どうなるの?
メグミ 予言なき預言なんて、唯の虚言に過ぎないよ。
サトミ じゃ、言を伝えるだけ、言を適えないのかな?
メグミ そうよ、霊が現われない、虚しい言になるよ。
サトミ 予言を望み、預言に臨まないと、どうなるの?
メグミ 預言なき予言なんて、只の戯言に過ぎないよ。
サトミ じゃ、言を適えるだけ、言を伝えないのかな?
メグミ そうよ、神が表われない、戯けた言になるよ。
サトミ 預言だけでは、言を辿らず、霊が宿らないし、
予言ばかりでは、言が歪んで、神が汚される。
メグミ うん、預言と予言、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、予言を適え、預言を叶えていくの?
メグミ そうなの、預言に従い、予言に順っていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 霊言 という 妄言
サトミ ねぇねぇ、聞いて、去年、霊言があったのよ。
メグミ どこの世界から来た、どんな御告げだったの?
サトミ 四次元に存在する、〇〇星から来た宇宙人で、
あなたは、家に篭りなさいと、言われたのよ。
メグミ そっか、言い付けを守って、家に籠ったのね。
サトミ うん、それでも、不幸が続くようになって、
独り悩んでいたら、先月、霊言があったのよ。
メグミ どこの世界から来た、どんな御告げだったの?
サトミ 五次元に存在する、××星から来た宇宙人で、
あなたは、旅に出なさいって、言われたのよ。
メグミ そっか、言い付けを護って、旅に立ったのね。
サトミ うん、それでも、依然として、不幸が続くの。
メグミ それなら、最初の霊言を、どうして信じたの?
サトミ 三次元より、四次元の方が、高次元だからよ。
メグミ それなら、反対の霊言を、どうして信じたの?
サトミ 四次元より、五次元の方が、高次元だからよ。
メグミ 論理を解さず、数値を介して、選んでいるの?
サトミ もちろんよ、高次元の方が、合っているもん。
メグミ わたしは、低次元だけど、どうして欲しいの?
サトミ ……………………
CASE 霊言 という 暴言
サトミ ねぇねぇ、聞いて、昨晩、御告げがあったの。
マナミ うん、最近、多いね、そんな話ばかりなの。
サトミ ううん、他のは偽物で、あたしのは本物なの。
マナミ そうかな、全部が偽者で、本物は無いでしょ。
サトミ ううん、本物と偽物が、入り乱れているのよ。
マナミ アツシ君、高次の存在と、通じているみたい。
サトミ そうね、彼は珍しく本物よ、信じても大丈夫。
マナミ サトシ君、天国の記憶が、残っているみたい。
サトミ そんな、妄想に過ぎないわ、夢でも見たのよ。
マナミ マサシ君、天才の前世が、蘇っているみたい。
サトミ うそよ、幻想に過ぎないわ、薬でも飲んだの。
マナミ 結局、本物か偽物かって、あなたが決めるの?
サトミ そうよ、あたしに憑いてる、神様が極めるわ。
マナミ あなたが、間違っていたとき、責任を取るの?
サトミ あたし、代弁しているだけ、取る訳がないわ。
マナミ それって、権威を借りて、責任は取らない。
神様以前に、あなた自身が、悪霊じゃないの?
サトミ あんたね、このあたしが、悪魔と言いたいの?
あんたこそ、悪霊じゃない、神様は許さない。
マナミ ……………………
CASE 霊言 という 放言
サトミ ねぇねぇ、あたしに、神様が語ってくれたの。
サトシ 正神は、語らないから、邪神に過ぎないよ。
サトミ どうして、正しい神なら、語り掛けないわけ?
サトシ 正神は、特別扱いなど、絶対しないからだよ。
サトミ 誰かだけ、特別に扱うと、皆が頼ってしまう?
サトシ 天才を授け、使役するのは、邪神の方なんだ。
サトミ これこそ、正しいと、神様が教えてくれたの。
サトシ 正神は、教えないから、邪神に過ぎないよ。
サトミ どうして、正しい神なら、解を教えないわけ?
サトシ 正神は、鸚鵡返しなど、絶対させないからさ。
サトミ 答えだけ、説き明かすと、誰も考えなくなる?
サトシ 霊言を与え、支配するのは、邪神の法なんだ。
サトミ それなら、語りもしない、教えもしないで、
静かに、見守っているのが、正しい神様なの?
サトシ そうだよ、自ら選ばせて、自ら考えさせる。
さもないと、身に付かずに、誰も育たないよ。
サトミ なるほど、そういう考え方も、有りそうね。
サトシ だから、霊言に惑わされず、自分で考えよう。
サトミ あっ、あんたの考え方は、違うって言ってる。
サトシ ……………………
CASE 霊言 という 巧言
サトミ ねぇねぇ、あたしに、神様が語ってくれたの。
マサシ 人に、語り掛ける者は、天人に過ぎないのさ。
サトミ 例えば、第一天界からは、どう語り掛けるの?
マサシ 天下泰平、人民を守る者に、力を授けるのさ。
サトミ 例えば、第二天界からは、どう語り掛けるの?
マサシ 切磋琢磨、才能を磨く者に、財を与えるのさ。
サトミ 例えば、第三天界からは、どう語り掛けるの?
マサシ 生殺与奪、秩序を護る者に、権を授けるのさ。
サトミ 例えば、第四天界からは、どう語り掛けるの?
マサシ 精進潔斎、法則を学ぶ者に、機を与えるのさ。
サトミ 例えば、第五天界からは、どう語り掛けるの?
マサシ 虚実混交、預言を喜ぶ者に、言を授けるのさ。
サトミ 例えば、第六天界からは、どう語り掛けるの?
マサシ 楽園追放、知恵を望む者に、実を与えるのさ。
それで、君は、どの様に、語り掛けられたの?
サトミ あなたは、預言書に記された、救世主だから、
法則を学び、権力を磨いて、民を救いなさい。
マサシ なるほど、様々な存在に、取り憑かれたね。
君自身、知恵を望むのなら、信じてごらんよ。
サトミ ……………………