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物語編

第五章 第七話 対話編

CASE 天使 の裏に 動物

 

マナミ 天上に住む、天使って、どういうものなの?
マサシ 天使とは、欲が無いから、善悪が無いものさ。
マナミ 天使が、善悪を知らないのは、どうしてなの?
マサシ 地上界に、生まれたことが、一度も無いのさ。
マナミ 一度も、産まれないから、良くを知らないの?
マサシ うん、本分に従うだけ、善悪の判断が無いよ。
マナミ つまり、使命という、絶対的な命に忠実なの?
マサシ 我を忘れ、命を果すから、神に近いと言える。
マナミ 地上に棲む、動物って、どういうものなの?
マサシ 動物とは、欲が有るけど、善悪が無いものさ。
マナミ 動物が、善悪を弁えないのは、どうしてなの?
マサシ 地上界に、生まれたことが、何度も有るのさ。
マナミ 何度も、産まれるうちに、良くが埋もれたの?
マサシ うん、本能に順うだけ、選択の余地が無いよ。
マナミ つまり、生命という、絶対的な命に忠実なの?
マサシ 我を忘れ、命を尽すから、神に近いと言える。
マナミ 天使は、善悪を知らず、神に近い存在であり、
    動物達は、善悪を忘れて、神に近い存在なの?
マサシ そうさ、君も命に忠実なら、神に近づけるよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 天使 の先に 動物

 

サトミ 人が解せぬ、天使って、どういうものかな?
メグミ 天使とは、善も悪も無い、天上に住むものよ。
サトミ 天使を、人から見ると、どう見えるのかな?
メグミ 善と悪で、解せないから、畏れ多く見えるよ。
サトミ 美しいとか、怖ろしいとか、想定を越えるの?
メグミ 善と悪で、割り切れない、空恐ろしさがある。
サトミ 人が解せる、動物って、どういうものかな?
メグミ 動物とは、善も悪も無い、地上に棲むものよ。
サトミ 動物を、人から見ると、どう見えるのかな?
メグミ 善と悪で、解してしまい、高を括って見るよ。
サトミ 可愛いとか、憎らしいとか、偏見で捉えるの?
メグミ 善と悪で、押さえ付ける、気安さがあるのよ。
サトミ 天使は、本分に生きる、高遠な命と見るし、
    動物達は、本能に生きる、卑近な命と見るの?
メグミ そうよ、天使も動物も、善悪が無いんだけど、
    それでも、人間が勝手に、善悪に分けるのよ。
サトミ う~ん、動物が人間よりも、神様に近いの?
    そうかな、本当なのかな、そうは見えないよ。
メグミ うふっ、押さえ付けたくて、仕方ないみたい。
サトミ ……………………

 


 

CASE 天使 と 人類 と 動物

 

サトシ 神を拝する、天使って、どういうものかな?
アツシ 天使とは、神を拝すると、他を排するものだ。
サトシ 我を排する、動物って、どういうものかな?
アツシ 動物とは、我を排すると、他も排するものだ。
サトシ 全て拝する、使徒って、どういうものかな?
アツシ 使徒とは、神を拝すると、他も拝するものだ。
サトシ 天使は、神様以外のものを、認められないの?
アツシ ひたすら、使命を守り続ける、無垢な存在だ。
サトシ 知恵の実で、善悪が生じて、地に産まれると、
    我が別かれて、与り知らない、他が埋まれる。
アツシ ああ、欲と欲が、刻し合う、争いの世になる。
    他を認めたら、我を認めない、弱肉強食だな。
サトシ 争いに疲れ、考えることを、止めると動物か。
アツシ 我を忘れ、本能のままに、業を摘み取る命だ。
サトシ う~ん、考えることを、止めてしまったら、
    禁を破り、知恵を求めた、意味が無くなるね。
アツシ それは、総て排したからだ、全て拝すべきだ。
サトシ それって、どういうことなの、僕に教えてよ。
アツシ それだから、獣に為るんだ、考え続けてみろ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 動物なき天使 と 天使なき動物 

 

サトミ 天使と動物、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 神を拝する、天使って、どういうものかな?
メグミ 天使とは、命に囚われて、命を果たすものよ。
サトミ 我を排する、動物って、どういうものかな?
メグミ 動物とは、命を捕らえて、命を果たすものよ。
サトミ 天使を望み、動物に臨まないと、どうなるの?
メグミ 動物なき天使なんて、非寛容に過ぎないよ。
サトミ じゃ、型は捉えるけど、形を捕えないのかな?
メグミ そうよ、法を認めるけど、業は認めないのよ。
サトミ 動物を望み、天使に臨まないと、どうなるの?
メグミ 天使なき動物なんて、無秩序に過ぎないよ。
サトミ じゃ、形は捕えるけど、型を捉えないのかな?
メグミ そうよ、業は認めるけど、法は認めないのよ。
サトミ 天使だけは、秩序が有るが、妥協は無いし、
    動物ばかりは、妥協は有るが、秩序が無いの?
メグミ うん、天使と動物、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、動物を究め、天使を極めていくの?
メグミ そうなの、天使を超え、動物を越えていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 萌え の裏に 萎え

 

マナミ 可愛く思う、萌えって、どういうものなの?
マサシ 萌えとは、思いのままに、愛でることなのさ。
マナミ 上から見て、モノのように、愛することなの?
マサシ 一方的で、相手の想いを、量ろうとしないよ。
マナミ 煙たく思う、萎えって、どういうものなの?
マサシ 萎えとは、想いのままに、操られることだよ。
マナミ 下に見られ、モノのように、扱われているの?
マサシ 一方的で、自分の思いを、量ってもらえない。
マナミ つまり、相手の想いを、推し量らなくなると、
    相手には、自分の思いを、押し付けていくの?
マサシ そうさ、相手を見とめない、世界に慣れると、
    自ずから、自分の思いで、染め始めてしまう。
マナミ そこに、相手が現れて、世界を染め換えると、
    急に、興味を失って、世界から逃げ出すのね。
マサシ いつも、相手の想いを、推し量っていれば、
    食違いに、慣れるけれど、それをしないのさ。
マナミ そっか、思っていたことと、違っていたけど、
    萌え易いと、萎え易いことは、良く判ったの。
マサシ 相手の想いを、考えて来た人は、良く解るよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 萌え の先に 萎え

 

サトミ この赤ちゃん、プニプニして、可愛いなぁ!
マナミ そんな風に、モノのように、可愛がらないで。
    飽きてしまうと、捨ててしまう、だけだから。
サトミ なによ、あんたには、萌えの心が解らないの?
マナミ 自分より、下のものに、萌える心の裏には、
    自分よりも、上のものに、萎える心が在るの。
サトミ じゃあ、思い通りになると、萌えるけれど、
    逆に、想い通りにならないと、萎えちゃうの?
マナミ そうよ、萌えやすいほど、萎えやすくなるの。
    思うようにならないと、すぐに捨てちゃうの。
サトミ もうっ、あんたって、ホントに、お固いわね。
    せっかく、可愛いのに、ちっとも、萌えない。
マナミ わたしは関係ないの、あなたの問題なのよ。
サトミ ねぇねぇ、あんた、この衣装を着てみない?
    きっと、似合うわよ、黙っていれば可愛いし。
マナミ そんな風に、モノのように、可愛がらないで。
    萌えてしまうと、萎えてしまう、だけだから。
サトミ もうっ、あんたって、ホントに、お固いわね。
    せっかく、可愛いのに、すぐに萎えちゃうの。
マナミ ……………………

 


 

CASE 萌え という 萎え

 

サトシ う~ん、萌えは良いね、愛情の一つの形だね。
アツシ 真逆だな、萌えの思いは、支配の一つの形だ。
サトシ おかしいよ、慈しんで、可愛がっているのに。
アツシ 本当に、愛しているなら、萎えないからな。
    身勝手に、弄ぶだけだから、萌えれば萎える。
サトシ 萌える思い、萌えって、どういうものかな?
アツシ 萌えとは、軽く捕らえて、好きに見ることだ。
サトシ 想いのまま、良く解すると、萌えを感じるの?
アツシ 思い通り、良く介せるならば、気が軽くなる。
サトシ 萎える想い、萎えって、どういうものかな?
アツシ 萎えとは、重く捉らえて、嫌いに見ることだ。
サトシ 思いのまま、悪く解すると、萎えを感じるの?
アツシ 想い違い、良く介せなくなり、気が重くなる。
サトシ じゃあ、これまで、ずっと、萌えて来たけど、
    僕は、人として見ず、物として見ていたわけ?
アツシ そうだ、対象のことを、慰み物にしただけだ。
サトシ ああ、そういうことなら、僕って最低だな。
    あ~あ、萎えちゃった、僕は、もう死にたい。
アツシ これから、自分も相手も、本当に愛すことだ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 萎えなき萌え と 萌えなき萎え

 

サトミ 萌えと萎え、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 軽く捕える、萌えって、どういうものかな?
メグミ 萌えとは、思い通りなら、好く感じることよ。
サトミ 重く捉える、萎えって、どういうものかな?
メグミ 萎えとは、想い違いなら、嫌に感じることよ。
サトミ 萌えを望み、萎えに臨まないと、どうなるの?
メグミ 萎えなき萌えなんて、唯の愛玩に過ぎないよ。
サトミ じゃ、軽く捕えるけど、重く捉えないのかな?
メグミ そうよ、気が軽くなって、弄って玩ぶだけよ。
サトミ 萎えを望み、萌えに臨まないと、どうなるの?
メグミ 萌えなき萎えなんて、只の委縮に過ぎないよ。
サトミ じゃ、重く捉えるけど、軽く捕えないのかな?
メグミ そうよ、気が重くなって、恐れて縮こまるよ。
サトミ 萌えだけは、弄ってしまい、愛せなくなり、
    萎えばかりは、拗けてしまい、愛せなくなる。
メグミ うん、萌えと萎え、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、萎えを介し、萌えを解していくの?
メグミ そうなの、萌えを超え、萎えを越えていくの。
サトミ ……………………!!

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