第五章 第十二話 対話編
CASE 後悔 の裏に 悔悟
マナミ 悔い悩める、後悔って、どういうものなの?
マサシ 後悔とは、知恵の果実を、腐らせることだよ。
マナミ 分別に煩い、実が腐るって、どういうこと?
マサシ 悪い事を、悪いと煩えば、総じて悪くなるよ。
マナミ 過ぎた事に、悩んでいたら、加えて悪いの?
マサシ そうだよ、過去のことを、原罪に腐らせるよ。
マナミ 悔い改める、悔悟って、どういうものなの?
マサシ 悔悟とは、知恵の果実を、活かせることだよ。
マナミ 分別を磨き、実が生るって、どういうこと?
マサシ 悪い事を、善いと改めて、総じて良くなるよ。
マナミ 過った事を、革めていたら、却って良いの?
マサシ そうだよ、過去のことを、現在に活かせるよ。
マナミ すると、知恵の実を食べた、人類が勝手に、
その事を、原罪に感じて、知恵を腐らせるの?
マサシ そうさ、感じても良いけど、意味が無いよ。
それより、分別の意味を、良く味わうべきさ。
マナミ そっか、知恵を磨けば、神の御心も解るのね。
マサシ 神は、天命を知ることを、願っているのさ。
天使が、人間に憧れる訳が、解ってきたかい?
マナミ ……………………!!
CASE 後悔 の先に 悔悟
サトミ 後で悔いる、後悔って、どういうものかな?
メグミ 後悔とは、分別を持って、無智と化すことよ。
サトミ じゃあ、分別が無いと、後悔は出来ないの?
メグミ 後悔とは、原罪が悪いと、分別することなの。
サトミ つまり、神に授かった、使命に背いたことを、
原罪と呼び、悪かったと思うのが、後悔なの?
メグミ そうだよ、原罪を許せず、過去を否定するの。
サトミ 悔いて悟る、悔悟って、どういうものかな?
メグミ 悔悟とは、分別を以って、智恵と化すことよ。
サトミ じゃあ、分別が無いと、悔悟は出来ないの?
メグミ 悔悟とは、原罪が善いと、分別することなの。
サトミ つまり、神に逆らった、使命を受けたことを、
原罪と呼び、善かったと想うのが、悔悟なの?
メグミ そうだよ、原罪を赦して、現在を肯定するの。
サトミ 神に背いた、生命に堕ちたと、後悔するか。
神に逆らった、使命を受けたと、悔悟するか。
メグミ うん、人類はね、どちらを選んでも、良いの。
サトミ う~ん、神に逆らう使命って、悪魔じゃない?
メグミ 知恵を磨くと、どんな生命でも、許せるのよ。
サトミ ……………………
CASE 後悔 という 悔悟
マサシ 歓喜の園には、知恵の実と、生命の実があり、
人類は前者を食べて、天使は後者を守るのさ。
サトシ 善悪の果実を、食べてしまうと、どうなるの?
マサシ 善を喜んで、悪を憂いて、歓喜が隠されるよ。
サトシ 天命の果実を、守ろうとすると、どうなるの?
マサシ 善も生じず、悪も招じず、歓喜が現われるよ。
サトシ どうして、歓喜の園を、人類は追放されたの?
マサシ 知恵の実を、食べた後に、後悔したからだよ。
サトシ そうだよ、言い付けを、守れば良かったんだ。
マサシ そうやって、悔いるから、歓喜が消えるのさ。
サトシ それなら、動物の様に、考えなければ良いの?
マサシ 違うよ、手にした分別を、正しく使うのさ。
悪を悔い、善に改めるのが、知恵の実なのさ。
サトシ じゃあ、分別が有るから、改心が出来るの?
マサシ 名の通り、知恵の実は、使い方が試めされる。
正しければ、知恵が実り、歓喜が蘇えるのさ。
サトシ もはや、どっちなのか、解からなくなった。
禁忌を破って、善かったのか、悪かったのか。
マサシ ほら、いま、君が食べたものが、生命の実さ。
サトシ ……………………!!
CASE 悔悟なき後悔 と 後悔なき悔悟
サトミ 後悔と悔悟、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 知恵が腐る、後悔って、どういうものかな?
メグミ 後悔とは、知恵を持って、生命を窶すことよ。
サトミ 知恵が実る、悔悟って、どういうものかな?
メグミ 悔悟とは、知恵を以って、生命が蘇ることよ。
サトミ 後悔を望み、悔悟に臨まないと、どうなるの?
メグミ 悔悟なき後悔なんて、唯の原罪に過ぎないよ。
サトミ じゃ、過去に捕われて、過誤に囚われるの?
メグミ そうよ、原罪を捉えても、現在を捕えないよ。
サトミ 悔悟を望み、後悔に臨まないと、どうなるの?
メグミ 後悔なき悔悟なんて、只の現在に過ぎないよ。
サトミ じゃ、過去に囚われず、過誤を捕えないの?
メグミ そうよ、現在を捕えても、原罪を捉えないよ。
サトミ 後悔だけでは、罪に敗けて、知恵が腐るし、
悔悟ばかりでは、罪が壊れて、生命が乱れる?
メグミ うん、後悔と悔悟、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、悔悟を追い、後悔を負っていくの?
メグミ そうなの、後悔を超え、悔悟を越えていくの。
サトミ ……………………!!