物語編
第五章 第十四話 概念編
第五章 失楽園
第十四回 良く の裏に 飽く
良くは、欲を持って、善が究められること
飽くとは、欲を以って、悪に極められること
欲は、今より善くもなり、今よりも悪くもなる
しかし、総じて悪いことに、必ず飽くことになる
良くは、器が開いたとき、器を満たすこと
開きが有ると、空虚を感じて、良くが生じる
良くが長じると、実感が満ちて、飽きが生じる
上が閉じると、上を望めず、下に臨むようになる
飽くは、器が満ちたとき、器が閉じること
開きが無いと、閉塞を感じて、飽きが生じる
飽きが長じると、実感が消えて、開きが生じる
上が開けると、下に臨まず、上を望むようになる
失楽園は、良くが生まれ、喜びが失われる
良くが究められると、飽くに極められること
良くの段は、知恵の実を食して、欲が生まれて
飽くの階では、知恵の実を食して、欲が倦まれる