物語編
第五章 第十六話 物語編
第五章 一神 と 多神
第十六話 神を合わせる と 神が分かれる
私は、情を断ち切って、愛する弟子たちに言った。
「悪魔よ、引き下がれ、神の道を邪魔する者め。
汝らこそが、先ず誰より、悔い改めるべきである。
御前達は、神の業を思わず、人の業に囚われている。」
「汝らが、我が身を案じて、善かれと思い込み、
神の道から、引き戻しているのは、疑っていない。
汝らの思いは、至善であり、それこそ、自然である。」
「しかし、それでは、人々と同じであると見よ。
自らの善を疑わず、彼らが我を憎んでいるが如く、
自らの善を疑えない、汝らも神を妨げていると知れ。」
「自ら、悪いと思う行を、悔いることは易しく、
自ずから、善いと想う業を、改めることは難しい。
悔い改めは、自らを善と見る、慢を越える道である。」
「汝らが、人々の型として、悔い改めなければ、
この世の誰が、悔い改めるようになるというのか。
汝らが、慢に溺れる限り、地上は悪魔に支配される。」
「愛する息子よ、悔い改めよ、天国は近づいた。
ここで、汝らが躓けば、後に来る者、全てが躓く。
積み上げた善悪を、悉く捨て去り、神の道を整えよ。」